kunbeのあれこれ雑記帳

日々の暮らしの中で感じたこと思ったことを、わかりやすく、おもしろく、それなりに伝えようと思います。

やっと「インデペンデンスデイ・リサージェンス」を観たよ〜ん

つらく悲しい7月

 

お久しぶりぶり〜! みなさんお元気ですかぁっ!

あたしは元気ではありましぇんっ!

あたしの生息地ときたら、7月はほぼ曇りあんど雨。

じとじとじとじとじめじめじめじめ。

自宅の居間のレースのカーテンまでカビがつく始末。

ったく、あっちこっちで猛暑日オンパレードが行われてるってのに、

そんなの関係ねぇ!ってお天道様は一向に顔を出してくれませんでした。

誰かがよっぽどお天道様を怒らせちまったんでしょう。

? あたしじゃないわよ。じぇったい!

平成の「天岩戸=あまのいわと」状態。

おかげ様で気温は低いけど湿度は異常に高い快適な生活を謳歌しておりました。

 

ああ、夏バテしたいっ!

 

こうも天気が悪いと精神的に腐っちゃいます。

あっ、もともと腐ってたんだ。

よかったよかった。ぎゃはは!

んでもって、天気はよくない上に仕事はぎょーさん。

したくない、やりたくない、逃げ出したいっ!

そんな思いを知っているのに次々次々ピンポイントで

あたしばかりが狙い撃ちに遭っちゃって。

よけてもよけてもバシバシ当たっちゃうから、

見るも無惨なズタボロ蜂の巣。

そんな体にむち打ってイヤイヤ仕事をしておりやした。

ほぼ毎日自宅に仕事を持ち帰り、

土日曜祝日もなく夜中まで一人寂しく、あ〜でもないこ〜でもないと

デザインの真似事をする日々…。

 

あ〜疲れたわぁ

まぁ、どうせ遊ぶお金はないし、天気も悪いんだから

どこかに出かける気力もなかったんですけど、

カミさんもヒマそうにしてるし

ほんの少し仕事も楽になりかけた先日、

ついに観てきました。ほぼ1年ぶりに映画館へ行って。

 

インデペンデンスデイ・リサージェンス」。

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テレビのCMを観たときから、行きたいねってカミさんと話してんですけど、

あたしがこんな状態で延び延びに。

まだやってんのかなぁ〜って思ってたら、

夜8時40分から吹き替え版が1回だけやってるとカミさん。

吹き替え版でも海賊版でも内容は同じはず。

とくに、疲れてるときには吹き替えの方が楽チンだわ。

というわけで公開から1カ月も過ぎた地元のディノスへ。

案の定、館内は閑散としていて、見やすそうな席が確保できました。

 

ところでリサージェンスってなに? どんな意味? 

カミさんに聞いても「I don't know」。

なわけで、翻訳コンニャク

得意のグーグルさんです。

ずばりたったひと言「復活」だって。

いや、まぁ、ね、何となくそんな気がしてたけどさ、

再来とかそんな感じの意味かとは思っていました。ホントだよ。

 

前作は当時の家族全員で観た思い出の映画。

ウイル・スミスが実にいい味出してました。

彼の出世作だよね。

ハラハラドキドキ、そして感動的なとてもおもしろい映画でやんした。

映画ってのはこうでなくっちゃね。

すごいですねぇ。おもしろいですねぇ。サイナラサイナラサイナラ。

ではなく、まだ続くんです。イヤがらないでね。おじさん打たれ弱いんだから。

 

あの感激から早20年

 

今回は前作から20年後の地球というかアメリカが舞台。

この20年間、人類は一致団結して戦争のない平和な時代を築いていたのですが、

ある日ある時あいつら(すんごく悪い地球外生命体)が舞い戻ってきて、

また地球を滅ぼそうとしちゃいます。

本作ではもう一種類の地球外生命体が登場します。

こちらはウルトラマン的な正義の味方。

この悪いエイリアンと敵対して宇宙を守ろうとしているんですって。

でも、正義の味方君は生き残っているのがたった1人。

驚くほど知能が高く、地球の言語を「原始的」呼ばわりしちゃいます。

白い球体に守られ肉体を捨てた姿は、

ポケモンGOがはやるのを見越してたみたいな気がします。

 

「敵の敵は味方」という古来からある考え方に基づき

この球体を守りながらアメリカ人中心の国際部隊は、悪いエイリアンと戦います。

悪い彼らは全宇宙でその星のコア(核)を吸い出して破壊、

そこに生きる生命を絶滅させているんですって。

なんのためかは分りません。

作品内にその説明があったかどうかも記憶していませんが、

とにかくとんでもなく悪いヤツラ的な設定です。

 

残り数時間で地球のコアが吸い出されてしまうリミット間近なタイミングで、

悪のエイリアンの女王と壮絶な勝負。

 

どういうわけかエイリアンは女王蜂や女王アリのように

設定されいることが多いように思います。気のせいかな?

 

感動………は、ありません

 

観終わってからネットで批評を読むと大半が酷評。

突っ込みどころ満載」とか「期待はずれ」とか「ポンコツ映画」とか

言いたい放題です。

 

たしかに映画の冒頭ではヨレヨレで杖をついていた20年前の大統領が

杖も使わずさっそうと歩いて爆撃機に乗ったりするところは「?」ですし、

女王エイリアンが執拗なまでにスクールバスを追いかけ回し、

しかも武器を使わず踏みつぶすことにだけ夢中になっていたりするところは

アタマ悪過ぎって思えちゃいます。

それにエイリアンの母船におびき寄せられた主人公たちに

まんまと自分たちの戦闘機を乗っ取られたり……。

 

高度な知能を持っている割には間抜けでお茶目…。

なところもございます。

 

20年前の大統領や女性大統領が爆死する以外は、

主要登場人物は全員無事。

どろどろした人間関係も軽〜く描いて、感情移入はできません。

なんとなく「スターシップ・トゥルーパーズ」的。

もちろん最後は地球が守られるわけで、めでたしめでたしのハッピーエンド。

白い球体のおかげで、これまた続編が出そうな可能性を残して終わります。

 

たしかに前作のときのように感動はしませんでした。

胸が熱くなることはありません。たぶん。

でも、その分、宇宙人から絶対地球を守るんだという主題が

ブレずにすんだようにも思います。

それはそれで、よかったんじゃない?

それにCGが大迫力で圧倒されます。

あたしが観たのは2D。3Dならもっと凄かったんでしょうね。

ちょっと残念に思いましたよ。

 

前作と比べると……ですが…

 

前作が素晴らし過ぎたので、評価が低くなっちゃったんですね。きっと。

 

でも、疲れたおっさんが何も考えないで観るには持ってこいの映画でした。

水戸黄門」と同じです。ある意味時代劇なのね。

なにも考えないで観ていいんです。

悪いヤツは正義の味方にやっつけられるの。最後には。

お約束なんです。鉄板なんです。

水戸黄門を観て感動したり泣いたりはしないでしょ。

でも楽しめたはず。今は時代劇なんて地上波から消えちゃったけどさ…。

 

あとあたし的には、スカパーなどでよく観ている

アメリカドラマに出ている役者さんもけっこう出演されていて、

ああ、この女性大統領は「CSIニューヨーク」に出ていた女優さんだとか、

ああ、このおじいさん役の俳優さんは「Dr.モーガン」の相棒役や

「NUMBERS」のお父さん役の人だとか分かってうれしくもなりました。

 

まぁ残念な部分もありましたが、総体的には楽しめる作品だと思いました。

 

なんのオチもないまま今回は終了です。

読んでくだった皆様に感謝申し上げます。

 

話は変わりますが、あたしの生息地ではもうサケが上がったとのウワサがあります。

千歳川のインディアン水車でも遡上が確認されとか。

そろそろ準備を始めます。

今年はいっぱい釣った話が書けるように頑張ります!

 

んじゃね。

 

やるな若造! ちゃんと考えてんのね

職場の若造が本を2冊貸してくれました。

「沈みゆく大国アメリカ」〈逃げ切れ!日本の医療〉(堤 未果、集英社新書

「日本で100年、生きてきて」(むの たけじ、聞き手・木瀬 公二、朝日新書

2冊。今回は、この2冊の感想文をまじめに書きたいと思います。

 ●沈みゆく大国アメリカ

 

沈みゆく大国アメリカ (集英社新書)

沈みゆく大国アメリカ (集英社新書)

 
■なんでも金儲けの国

沈みゆく〜は若手女性ジャーナリストの温かくも鋭い視点でアメリカの医療制度の実態と日本の皆保険制度の危機を訴えた力作。

しかしまぁ、アメリカって国は何でも金儲けの材料にしちゃう国だってことが痛いほどよく分かる内容です。

保険会社と製薬会社がよってたかって、徹底した政治家の買収とマスコミの買収で〝安い保険料で万人が良質な医療を受けられる〟新しい試みの理想を完全に骨抜きにして、自分たちの利益が上がる仕組みにすり替えてしまいます。

すっかり形骸化した制度の下で、現場の医者や患者は、精神的肉体的金銭的負担が重くのしかかり、やりたい医療ができない(煩雑な書類処理)、受けたい医療が受けられない(お金)という悪循環にあえぐ事態になっているんだとか。

1%の超富裕層と99%の貧困層に格差がはっきりしたといわれるアメリカは、今後どのようになっていくのでしょうか。人間の命も金儲けの対象にしちまうって考え方には、ヘドが出る思いです。いい加減にせーよ! 金の亡者ども!って叫びたいくらい。

 ■日本にも危機が来る?

でも、そんなことより日本が心配になってくるのね。この本を読むと。

ご承知の通り日本には国民皆保険制度というものがございます。

国保」だったり「共済」だったり、ちょっと差別的に区別されていますが、それでも医療費の自己負担は実費の3分の1程度でまかなわれていますね。今のところ。

虎視眈々と国民皆保険制度に、アメリカの保険会社などがTPP条約批准を契機に参入を狙っているというんです。油断ならんわ。

現在でも医療特区とか聞こえのいい名前を付けて、アメリカ資本の参入を許し始めているとも書いています。

なんだかやばいぞってヒヤヒヤしながら読んじゃいました。

本書にも書かれていますが、日本の国民皆保険制度はすばらしいものです。他国にはあまり例がないような仕組みで、一見社会主義国の制度にも見えるものですが、日本国憲法で謳う「生存権」を具現化した、まさに国民のための制度といえます。ですから、これを守っていくことは、とても大切なことなんだって、気づかせてくれます。

その国にはその国のやり方があって当然で、歴史や風土や習慣が大きな影響を与えているんです。それがいわゆる国の形なんですよね。

だから外国のやり方や習慣が我が物顔で日本に入ってくると、ものすごく違和感を感じちゃいます。あたしはグローバル化には反対なのね。

だから日本の企業が「会社内では英語で話すように」なんて決めたって聞くと「バカじゃないの」って思っちゃいます。みなさんもそうじゃない? そういいながらもユニクロは買っちゃうけどさ。

 ■希望の火は消えない

本書には、アメリカでもオバマケアから離脱して保険制度を利用せずに診療する動きが広がりつつあることも書かれています。

医師と患者がじっくり向き合い、何がベストかを真剣に考え実行する人間的な医療が、静かに熱く粘り強く新たな取り組みが始まっているんですって。

少しホッとしました。

アメリカ人にも強欲じゃない人がいたんですね。安心安心。

 

注目すべきは、日本が高齢化で国の医療費負担が急増というのが、どうやら根拠の怪しいプロパガンダだってことにふれた部分。

あのね、日本国内の高齢者の医療費とそれ以外の人の医療費ではそれほど大差ないんですって。日本医師会の調査によると。

医療費高騰の真犯人は医療技術の進歩と新薬開発なんですってよ、奥さん!

とにかく最新技術や新薬は高額らしいです。外資系製薬会社などのおかげで。

さらに日本の国の医療費負担は諸外国と比べてかなり低い水準だとも書かれているんですよ! 奥さん! しかも、患者の自己負担率は逆にかなり高いとも。

そうだったの? 知らなかったわぁ!って思うでしょ。あたしもそう思いました。

国の借金が膨らんだから社会保障にまわすお金がない。

医療費を減らしたり増税をしなければならない。

というのは真っ赤なウソ?……むむむ。国も政治家も信用ならんな。

アメリカの製薬会社から仕入れる同じ新薬が、日本では840万円かかるのにイギリスでは500万円、エジプトでは10万円ってことが現実にあって、事実なんだって。

このカラクリはめっちゃ単純。クスリの値段を決めるのが製薬会社だからです。

足下を見て商売しあがって! やってらんねぇ!って思いません? ざけんなよ。日本をなめとんのか! も1回戦争しちゃるぞ!って気にもなっちゃいます。……。

そうはなりませんが…。

ほとほとアメリカの金の亡者はロクなもんじゃありませんね。まぁ、言い値で買う日本も日本ですけど。結局言いなりなのね、頼りないなぁ日本の外交。

外交は頼りないけど、地域は頼りになる存在のところもあるようです。

医療で地域おこしを実践しているところが紹介されています。

長野県佐久市の佐久総合病院と千葉県鴨川市館山市亀田総合病院グループ。

こういうところがあるとまだまだ日本も捨てたもんじゃないと思えてきます。

こんなところに住みたいって思わせてもくれます。

 

アメリカの医療実態を紹介しながら日本の医療問題も浮き彫りにする、

ぜひご一読いただきたい一冊です。

 

 ●むの たけじさんをご存知ですか?

 

日本で100年、生きてきて (朝日新書)

日本で100年、生きてきて (朝日新書)

 
 ■大正生まれの骨太ジャーナリスト

新聞記者にとっては伝説の人である「むのたけじ」さんは御年100歳。敗戦の年に日本人の戦意高揚に関与した責任を取り朝日新聞を辞め3年後に帰郷して秋田県横田市で週刊新聞「たいまつ」を創刊。780号まで続けた希代のジャーナリストです。

スタンスは一貫して反戦平和。

「死ぬときが人間てっぺん」は、あたしの胸に深く刻み込まれた名言中の名言です。

これでも、あたしも若いときにちっちゃな新聞社の記者をやっていたもんですから。

下手な記事ばかり書いて、いっつも起こられてましたけどね。

本書は、朝日新聞の岩手版と秋田版に掲載された連載から86編を選抜して文庫化したものです。一遍一遍はとても短いので、あっという間に読み終えてしまいます。そういった意味ではちょっと物足りないかも。

すっかり好々爺に見える今でも、相変わらずの鋭い指摘。体験や経験に寄り添い、熟考した上で吐き出す言葉には重みがあります。

■地域から世界まで縦横無尽

「敵だからこそ残そう」は読んでうれしくなります。

反体制でアカのレッテルを貼られていたむのさんの書いた本の出版祝いをしようと、当時の市長と市の課長、商工会幹部の3人が呼びかけて祝賀会を開いてくれました。

彼らは当然のことながら保守。町を動かす実力者たちです。それが反体制で敵であるむのさんを祝うというんです。

「なぜか」とのむのさんの問いに「たいまつ(新聞)はわしらの敵だ。だからつぶすわけにはいかない」って。「それに負けないためにオレらも頑張れる」って。

度量の大きい人間たちです。

今では敵はつぶせ、意見が違うものは排除しろ、が当たり前ですよね。

むのさんも書いていますが、ネット右翼だのブログ炎上だの、ただ言いたい放題では言葉はその役目を果たしません。言葉が今ほど無責任な道具になってしまった時代はなかったと言います。違う意見があって、それに打ち勝つために考え行動することで自分も成長し前進できるってことね。

「敵から学ぶ」。今さらながら大切なことに気づかされました。

 

「ニセモノはみんな仰々しい。ホンモノはみんな素朴だ、ひっそりと」はむのさんの詩集にある言葉ですが、それを引用して安倍晋三の安保法制もばっさり切り捨てちゃいます。

集団的自衛権を使えるようにするために、段階を踏んでものすごく周到に準備してきたとむのさんは分析。景気をてこ入れして企業を元気づけ、ある程度人気が出たところで積極的平和主義を唱え、戦争とは無関係な印象を植え付けながら、特定秘密保護法をやる。

さらに集団的自衛権の解釈を変えてしまいました。

むのさんは言います。

「長く言葉の仕事をしてきた人間として、誠意を持って正直になればなるほど言葉は簡単になると確信しているんだ。あれこれ言っているときは本心を隠しているときか自信がないときだ」

実感しますね。あたしもそうだもん。ごまかそうとすれば必要以上に饒舌になっちゃって、ウソがバレちゃいます。

むのさんはこうも言っています。

「平仮名で簡単にいえるようになるまで、議論しなきゃダメだ」

パチパチパチ、喝采です。

 

また昨年2人の日本人がイスラム国に殺された件では、安倍晋三の発言にもきっちり切り込んでいます。

あのとき安倍晋三はわざわざエジプトまで行って、イスラム国を刺激するように対イスラム国支援に2億ドル支援を宣言した上で、

「国民の生命財産は国家が守る。その最高責任者は私である」と言い放ちました。

本当に国を思い国民を思っての行動なのか、手柄を立てたかっただけなのか。検証が必要でしょうとした上で、本当に必要なのは対話だけだと指摘。それが積極的平和主義だとも言っています。

本書の中程に「戦争とは何か」のインタビュー記事が載っています。

むのさんは敗戦の日「負け戦を勝ち戦と書き、戦争遂行の手助けをした責任を取る」朝日新聞社を辞めました。従軍記者としてジャワや中国の戦地を回り、悲惨な状況をその目で見てきた人です。

「戦場に行けば3日で人間が変わる。ふるさとに帰れば優しい農民を獣以下に変えちゃう」と語っています。

戦地では日本兵が敵国の女性に乱暴するところも目撃していますし、略奪や虐殺行為も見ています。

そんな悲惨な体験から戦争廃絶を信念に今も活躍されているんです。

このインタビューだけも読む価値はあると思います。

書店などで見かけたらぜひ立ち読みしてください。

あ、買ってくれてもいいですけど…。

 

さて、大まかに2冊の本の感想を書きましたが、あたしが一番書きたかったことは仕事中もいつも遊ぶことしか頭にないと思っていた職場の若者が、社会問題をきちんと考えているんだなっと思わせてくれたこと。

最近の若いもんはっていっつも陰で悪口言ってたけど、悔い改めます。

しっかり考えてるんだね。

しかも、はにかみながらこれ読んだことありますか?って昼休みにわざわざ持ってきてくれて。

うれしかったよ。トイレで泣いたよ。年を取ると涙腺と尿道が緩むんだよ。

上と下から感激したんだよ。

ありがとちゃん。

今度はあたしが難しい哲学書を貸してあげるね。

めんどくさいから読んでないけど。

ニャハハ。

紫陽花やきのふの誠けふの嘘

 

妹よ お前は 器量が悪いのだから 俺は ずいぶん 心配していたんだ

あたしがギターを覚えたてのころ、よく弾いて歌っていた「かぐや姫」の

「妹」の二番にある歌詞です。

あたしの妹も器量が悪いので、そんな妹の顔を思い浮かべながら歌ったものです。

 

長いこと妹に嫌われていたので、中学高校時代はほとんど口を利くことのない間柄。

お世辞にも仲良しとはいえませんでした。

原因は、あたしが悪い仲間とつるむようになったせいだって、

十数年経って初めて聞かされました。

 

思春期って難しいのね。

 

当時、両親は夫婦仲がきわめて悪く、あたしはそれが不満で、

夜な夜な出歩いていました。

妹はその内気な性格から胸の内を誰にも打ち明けられず、

帰宅後は部屋に閉じこもってハードロックの爆音を響かせ、

じっと耐えていたんだとか。

今思うと、妹の方がつらかったのね。絶対。

 

都内の病院で看護師をしていた妹が、いきなり看護師の国際資格を取ると言い出して、

20代前半に単身イギリスへ飛び立ってもう四半世紀以上です。

そこでロバートと出会い、結婚。

人生の半分をロンドンで暮らしています。

物書きのロバートが、しっかり稼げるようになり生活も安定したみたい。

よかったよかった。

ってゆーか、完全に負けてます。あたし。

 

先日、妹にかぐや姫の「妹」の歌詞と同じように俺も心配してたんだぞって言ったら、

ギロリとにらまれちゃいました。

でも、日本にいたらきっと妹は、今も独身だったとあたしは信じています。

外国人だから美的感覚が違ってるから、選んでもらえたに違いないと。

にらまれた上に、また口を利いてくれなくなると寂しいから、絶対に言えませんが…。

そんな妹も今年で五十路の仲間入り。

やっぱ老けたなぁなんて、しみじみ感じちゃいました。

 

さて、妹家族一行が帰国する前日の6月25日の土曜日、

あたしは仕事をサボり、おまけにレンタカーまで手配して、

一日中意思疎通ができない彼らと一緒に過ごすイバラの道を選択しました。

えへへ。えらいでしょ。

「苦渋の決断」って、こういうときに使うためにあるのね。

われながら大英断。自分で自分を褒めてあげました。

 

ホントはピーカンの空の下で、恵庭市にあるサッポロビール北海道工場を見学して、

評判のいい庭園も堪能して、

ついでに併設されているパークゴルフ場で久しぶりのパークゴルフを楽しみ、

しかもこれまた併設のレストランで、できたてのビールをがぶがぶ飲みながら、

ジンギスカンに舌鼓を打ち、お腹がパンクするまでたらふく食べるって

予定だったんです。

あたしはあんまりたくさん飲めないけど、

そこはカミさんがしっかりカバーしてくれるはず…。

なんたって最後の晩餐は、

親愛なるブラウンアイズの義弟、ロバート様のおごりだって聞いてたからね。

容赦なく食いまくるつもりでいました。

が…、予定は豪雨に跡形もなく流されちゃいました。

しかも天気予報では、道内どこへ行っても一日中大雨アンド強風だって。

 

どうするって話になりまして、一生懸命考えてくれたのは妹とカミさん。

とくにカミさんに感謝だわ。あたしはひたすら天気を呪ってただけだったから。

で、吹きガラス体験をしに運河のまち小樽へ行くことに。

なんとか予約も取れて、ついでに水族館も見学するそうな。

みんなひと安心でうれしそう。

テレビでしか観たことのない長い鉄のストローみたいなものに

プゥーッと息を吹き込んで、ガラスを膨らませてコップを作る魅力に

すっかり取り憑かれていました。

 

案の定、当日はすっごいどしゃ降り。でも小樽に着く頃にはすっかり晴れました。

あたしの呪いが雨に勝った瞬間です。神通力だね。

「平成の安倍晴明」たぁあたしのことでぃ!って気分爽快です。

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まずは小樽水族館。ここは吹きガラス体験の時間調整で寄っただけなので、

足早に見学です。ピンぼけ写真1枚撮っただけ。

実際はすごく美味そうなオオダコでした。

刺身で何人前でしょうか。

ついつい食うこと中心に物事を考えちゃいます。

 

美味しそうな魚介類に別れを告げ、

本日のメーンイベント、ガラス工房へと乗り込みます。

ここには英語を話せる先生がいてロバートたち3人はその先生のお世話になることに。

流暢な英語で楽しげに会話して、早速吹きガラス体験突入です。

体験料はお一人様2500円。何種類かのオプションが数百円からありました。

体験時間は一人20分程度。カリキュラムに沿ってどんどん作業は進みます。

力強く吹いて膨らませるのかとばかり思ってましたが、

優しく吹くだけ…。なんか物足りない…。

燃えたぎる炎の中へガラスを入れたりするのは先生がやっちゃうし、

唯一難しく感じたのは、ピンセットのお化けのようなものを

ガラスの先端に突っ込んで口を広げるところくらい。

溶けかけた飴のようなガラスは、面白いように口を広げてくれます。

その後の仕上げ行程は全部先生たちのお仕事。

「お疲れさまでした」。で終了です。

 

まぁね…。分かっちゃいましたよ…。いましたけど、やっぱ物足りないわ…。

要するに2500円で自作のグラスを買うってことなのね。

100均なら25個も買えるけど。

そこはまぁ、世界に一つしかない手作り品てことで

そこに価値があるんだと無理矢理自分を納得させました…。

 

仕上がりは後日配送ってことで、ここで送料も追加。

なんだか高い買い物しちゃった感が否めません。

でも、妹もロバートも喜んでくれたみたい。

「俺、こんなの作ったぜ」みたいな会話を笑顔でしてましたから、よしとしましょう。

ちょっぴりトホホですけど…。

 

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          どうだいオレもなかなかやるだろ的な表情を見せる義弟。

 

工房を後にしたあたしたちは、お決まりの小樽運河周辺の観光です。

風は強かったけどよく晴れていたので、観光客も大勢。

思い思いのお土産を買い込んでいました。

あたしたちも負けじといろいろと買いました。

なぜかは分かりませんが、一番の買い物はハチミツでした。

「小樽に関係あるの?」

カミさんに聞きましたら

「I don't know」

定番の外国人ボケを返されました。

近年めきめきと頭角を現し、すっかり有名になった「ルタオ」で

糖分補給。本来、あたしとカミさんには不要なものですが、ココはお付き合いで。

有名TV・雑誌で多数紹介された【LeTAO】のチーズケーキ♪

 

午後6時になり最後の晩餐に向かいます。

で、何を食わせてくれるんだい」と妹に聞きますと

「メロディがラーメン食べたいんだって」

「ラーメン!?」

「うふふ、ごめんね!」

ええーっ! 最後の晩餐がラーメン!

6人分だけど、どんなに高くても1万円もかかんないべや!

おにょれメロディ! なんでラーメンなんかリクエストしたんだ!

夕べはそんなそぶり、みじんも見せなかったくせしてぇ。

だまされたぁ…。

裏切られたぁ…。

 

ロバートを破産させるもくろみが、もろくも崩れ落ちた瞬間でした。

シクシクシクシク36。

 

あたしは旨味噌ラーメンなるものを注文したんですけど、

ちょっぴり塩辛っかたです。

涙の味がブレンドされて…。

 

ロバートたちはラーメン最高! みたいに盛り上がって、

お互いのラーメンを味見して得意の親指突き出しポーズ。

いいねってリアルファイスブックです。

美味しいお店だったけど、ため息がニンニク臭いわ。

はぁあ…。

 

さぁ、気を取り直して本日の一句。唐突に登場しちゃいます。

 紫陽花や きのふの誠 けふの嘘

      (あじさいや きのうのまこと きょうのうそ) 

 

なんといっても「マコトとウソ」がキモですね。

なんか都々逸(どどいつ)っぽい世俗さも感じます。だから好きなんですけど。

 

いったい誰に対して、何に対して「昨日のマコト今日のウソ」なの?

何があったの? どしたのどしたの

よかったら話してごらん?って気持ちになります。

…。なるでしょ。

花の色が変わる紫陽花の代表的な花言葉は「移り気」です。

恋愛経験者なら「移り気」って聞くと浮気を連想しちゃうでしょ。ね。

するでしょ。してください。お願いします…。

で「移り気」「浮気」とくれば、これはもう男女間のもめ事しかないわけですよ。

ね。そうでしょ。……。コホン…。いいわね。

女性のウソか男のウソか。言った言わないやったやらない、情がこじれて痴話げんか。

なんて世の東西を問わず、いつの時代にもあふれている男と女の色恋沙汰。

ね、連想しちゃうでしょ。でしょ。ね。

やっぱ、俳句っていうより都々逸っぽいんですよね。

あたしは絶対そう思います。

 

実はこの俳句の作者は、知っている人も多いと思いますが、

近代俳句に多大な功績を残したといわれる正岡子規(まさおかしき)さんなんです。

「柿食えば鐘がなる鳴り法隆寺は誰もが一度は口にする名句ですよね。

松尾芭蕉を否定し、与謝野蕪村を賞賛したことでも有名です。

文学や美術においては簡潔な描写が表現として大きな効果を上げると確信。

「写生」の手法の重要性を説き、自ら実践した人でもあります。

彼の俳句革新により、低迷していた明治の俳句界が生き返ったともいわれています。

あたしは「柿食えば…」以外に覚えているのは上記のこれだけ。

あまり好きになれない作家の一人です。

どうしてかは分からないけど、なんかピンとこない俳句が多いんです。

あたしにとっては。

 

あたしの勝手な分類では、色恋を文学的表現で格調高く歌い上げたものが

俳句や短歌。

庶民的で駄洒落が多く戯(ざ)れ歌ともいわれる都々逸などは、

言葉遊びの勢い余って詠んじゃった、みたいな下世話な香りがプンプン。

どちらかというと滑稽話のジャンルに入るような感じで、

落語などのお笑いに近い存在に思えます。

でも、心にしみるものがたくさんあるんです。

七七七五のリズムで詠む都々逸は、

そもそも江戸時代末期の演芸の出し物だったらしいです。

そうだったのね。「ウィキペディア」さんありがとう。

ホント役立つ心強い存在ですね。

 

ちなみに手元にある資料から紹介すると、

「惚れた証拠にゃお前の癖が みんなわたしの癖になる」

「一人笑うて暮らそうよりも 二人涙で暮らしたい」

「惚れて通えば 千里も一里 逢えずに帰れば また千里」

「逢うた夢見て笑うて覚める あたり見まわし涙ぐむ」

「岡惚れ三年 本惚れ三月 思い遂げたは 三分間」

「帯もできたし箪笥(タンス)もできた そろそろ旦那と別れよか」

「面白いときゃお前と二人 苦労するときゃわしゃ一人」

 

恋愛や夫婦間の悲喜こもごもを笑いに変える

庶民の生命力が感じられるものがたくさんあります。

あたしはこういうの大好き。

 

今回の最後の晩餐で、あたしは前出の俳句を強烈に思い出しちゃいました。

豪華な食事をしようねって昨日までは言ってたよな。妹!

お前の豪華な食事はラーメンなのか! 妹!

 

ラーメンを悪くいうつもりはないけどさ…。

2年後に里帰りしたときは、高級な肉料理をごちそうしてくれ!

回らない寿司でもいいぞ。

それまで首を5メートルぐらい長くして待ってるからな!

覚悟して「帰っておいで 妹よ」

「妹」の四番の歌詞で締めくくりです。分かる人が何人いるか…。

 

そうそう、子規には同じ紫陽花を詠んだ俳句に

紫陽花や はなだにかはる きのふけふ

(あじさいや はなだにかわる きのうきょう)

なんてのもあります。はなだってのは薄青色の意味ですって。

あじさいの花の色の変化にかけて人の心の移り変わりを詠んだものです。

これだったら昨日のマコト今日のウソの方が、断然面白味がありますよね。 

 

なかなか更新ができなかったので、長々長々書いちゃいました。

妹家族プラスワンが帰って一週間。仕事も疲れもたまってたのね。

 

最後まで読んでくださった皆様にはきっと幸せが訪れます。

心からそう祈念いたします。

とりあえずのぞいてみただけの皆様にも、幸せが訪れますように。

それなりにお祈りしてあげちゃいます。

では。バイナラ。

汚れちまったキーボードに今日もタルタルの降りかかる

はぁ…。今日もまた雨。

あたしの生息地は、6月に入ってからやたら雨ばっかり降っております。

まるで梅雨です。

北海道には、はっきりした梅雨はない、なんて言われてるけど、

この状態はまさに梅雨。

誰の目にも明らかでしょう。

しかも、寒い。

まるでこのブログみたいです…。

いや、このブログ以上かな?

う〜ん、甲乙つけがたいわね。

みなさんはどう思います?

あっ、答えなくていいです。わかってますから…。

クスン…。

 

そういうわけで家でも職場でも、連日ストーブのお世話になっているんです。

信じられます?

6月も終盤だってのに、毎朝ストーブつけなきゃ寒くていられないんですよ。

ああ、お天道様が恋しい。

そんなあたしの気持ちは完璧に無視されっぱなし。

まったく相手にされない片思い。

思いは募るばかりです。

「あきらめましたよ どうあきらめた あきらめきれぬと あきらめた」

なんて都々逸(どどいつ)を思い出したりしちゃいます。

 

とにかく毎日じめじめしてますから、

心の中にカビがはえるわパンツからサルマタケがはえるわ加齢臭が強くなるわで

大変です。

ホント気持ち悪い。あ〜んど機嫌も悪い。

恒例の若い連中へのヤツ当たりは、連日やってたからもう飽き飽きしちゃって

仕方がないから今度はおエライさんに当たっちゃおうかな、

なんてできもしないことを真剣に考えちゃったりしてね。

どうせ言えやしないんですけど

「うっせぇ!てめぇっ!」って、いきなり言ってみたいにゃぁぁ。

きっと面食らうだろうな。

いっつも怖いもんなしみたいな態度しやがって。

ひょっとしたらチビっちゃうかも。

そしたら写真とって社内中にばらまいて…。

ついでにネットにも…。

ウケケ。そんな想像して薄ら笑い。

それでどうにか心の均衡を保っているという

正真正銘の薄気味悪いおじさんに成り下がっちまいました。

 

えへへ。

みんな、仲良くしてね。

 

ホント天気が悪いとウップン溜まりますよね。

皆さんはどうやって解消しているんでしょうか。

本気で知りたいわ。

 

今日もそんな天気の中、ウツウツとお仕事です。

当然やる気なんかありゃしません。

なにをするんでも「ハァァ〜」ってため息ついてから。

思いっきりダラダラ状態で仕事しているふり。

まんまとお昼までやり過ごして、

いつものようにふんぞり返ってネット麻雀しながら弁当を食べていたら、

フライに付けるタルタルソースがキーボードの上に「どさっ」と落下。

ホント「どさっ」て感じでした。

 

ギョヘェ〜ッ! やっちまったやっちまったえらいこっちゃえらいこっちゃ!

 

青カビのように青冷めるあたし。

それでも素早く周囲を観察し、誰も気がついていないことをしっかり確認。

もし誰かに見られていたら、そいつの口も封じなければなりません。

 

あたし、職場では厳しいんです。

他人には……。

 

あたしがこんな失態を演じたら、

若いヤツらはいい気味だって、

ここぞとばかりにオエライさんにチクるに決まってます。

それでもってオエライさんも待ってましたと

食いきれないだけたっぷりのお小言をあたしに食らわすはずです。

そうなると毎日ふんぞり返ってゲームしながら昼飯を食う権利が剥奪されます。

テキトーに仕事して若いもんをいじめることができなくなります。

楽しみがひとつもなくなっちゃうんです。

 

そんなの耐えられな〜い!

 

それだけはなんとしても阻止しなければなりません。

一瞬のうちにそう考えたあたしは、

極秘裏に「キーボードお掃除大作戦」実行と強く決意しました。

 

平静を装い、まずはタルタルソースの固まりをキーボードから取り除きます。

続いて、おもむろにティッシュと爪楊枝を持ち、

キーの隙間をこすりながら優しくフキフキ。

キーの隙間に入り込もうとするタルタル君を、

そうはさせじとこそげとり、

それでも取りきれないタルタル君の残党は、

クリップをのばして先端に濡れティッシュを巻き付け、

ひとつひとつ丁寧に拭き取ります。

いつになく真剣。

なんだか気分充実。

 

貴重な昼休み終了間際に、ようやくすべて取り除けました。

 

カミさんの手作り弁当は半分以上残ったままです。

気分が高揚していて空腹は感じませんでした。

毎朝早起きして作ってくれているのに申し訳ないと思いつつも、

極秘裏に事件解決がうれしくて「よっしゃぁ!」っと

ちょっと大きめの声を出してしまいました。

 

しまった!……。

 

「どしたんすか?」

一番近くの若造が聞いてきます。

「い、いや、なんでもない」

「そっすか。なんかうれしそうでしたよ」

「なんでもないんだ」

「でも…」

「うっせーな!なんでもないって言ってっだろ!」

 

周囲に聞かれないようにクチビルに人差し指をあて、

声を押し殺しながらの会話です。

 

若造はあたしのPCデスクの上に

うずたかく積まれたティッシュに気がつきました。

若造の目の色が変わります。

 

若造が近づいてきました。

 

「なんかこぼしたんすか?」

「し、しつこいな。な、なんでもない」

「これ、マヨネーズ?いやタルタルっすか?」

「なんのことだ」

「あ〜あ、これじゃだめっすよ」

「だめ?」

「こんな中途半端に拭き取ったんじゃぁ、キーが固くなっちゃいますって」

「まじ?」

「貸してください。ボク、いいの持ってますから」

「いいもの?」

「ちゃんとクリーナーで拭かないと」

「そうなの」

「キーの裏も拭いちゃいますから。大丈夫っすよ」

「すぐできるのか」

「たぶん」

「よし、やれ。誰にも言うなよ」

「わかってますって」

 

若造はあたしのキーボードを自分のデスクに持っていくと、

手慣れた手つきでキーボードを二つに分けて、クリーナーで拭き始めました。

 

「処理が早かったから被害はないっすね」

「そっか」

「はい。これでオッケーっすよ」

ニコっと笑ってキーボードを合体。

「今度こんなことになったら、すぐ言ってください」

 

ううっ。爽やか。

なんて爽やかなんだ。若造!

あたしはキミに久しぶりのお天道様を見ました。

 

今までさんざんいじめてばかりいたのに…。

こんなおじさんを許してね。

なよなよしててたよりなげで、普段口数の少ない若造君です。

 

今ハヤリの二次元オタク。

勝手にそう思い込んでました。

いや二次元オタクはそうなんですけど、

こんな優しい一面があったなんて。

感激しました。感心しました。

自販機のジュースを買ってきて

「ありがとな」って渡すと

「そんなつもりじゃなかったんすけど。あざっす」

「礼を言うのはあたしだよ」

「えへへ」

 

ちょっぴりはにかんだ若造君。

笑顔もかわいいんだね。

ホントいいヤツだね。

オエライさんに言っとくよ。

こいつは使えるって。

次にココを引っ張っていくのはキミだって。

ごめん、なんの力もないけどね。

 

心が温かさに包まれました。

久しぶりだなこんな気持ち。

あ〜いい気分!

よおっし、お仕事頑張ろう!

そう思った矢先でした。

 

「あのう…」

めったにないことに、若造君が話かけてきました。

「どうした?」

「ボク今日用事があって定時で上がらなきゃならないんです。」

「は…ん?」

「この仕事の続きお願いします」

「お、おう!」

 

まさか初めからそのツモリだったの?

 

いや、あたしと違ってそんな腹黒いヤツではないはず。

疑心暗鬼…。

ガラガラガラ。

芽生え始めた信頼が音を立てて崩れていきます。

そんなはずはないと思いながら、

夜遅くまで一人職場に残ったあたしなのでした。 

 

唐突ですが本日の一句。

 

紫蘇茗荷 をんなに刻む もの多し

(しそみょうが おんなにきざむ ものおおし) 稲垣きくの

映画女優にして茶道教授。そして俳人。現代才女の誉れ高き稲垣きくのさんの俳句です。トントントン、朝餉でしょうか夕餉でしょうか。台所から野菜を刻む子気味よい音が聞こえています。ちょっとしたひと手間で食事をおいしくする女性の心遣いが詠み込まれた秀歌です。俳句のリズムと包丁のリズムが一体となって、家族で過ごす楽しげな食卓の光景が目に浮かんできます。「色の一句」(ふらんす堂)では6月10日に掲載されています。この本は一年を色にまつわる俳句で編んだアンソロジーで、あたしのお気に入りの一冊です。稲垣きくのさんは明治生まれで昭和初期まで活躍された映画女優。詳しくは知りませんが、たくさんの映画に出演された方のようです。戦後は茶道教授もしていたとか。俳句の代表作には「冬濤(ふゆなみ)に捨つべき命かもしれず」「目刺し焼く恋のねた刃を胸に研ぎ」などがあります。

 

汁ソース をとこにこぼす もの多し

(しるそーす おとこにこぼす ものおおし) kunbe

男はなにかと食いこぼしが多い生き物です。自慢じゃありませんが、あたしなんぞは色の薄い服を着て食事することを禁じられています。汁物をすすった後は必ずシミが付いちゃうし、醤油やソースも注意を怠るとカミさんにガッツリ叱られることになります。あげくには会社の備品でもあるパソコンのキーボードにタルタルソースをぶちまけ、助けてくれた若造から仕事を押し付けられる、トホホの気分を詠んだ悪歌です。

 

長々と書いちゃいました。最後までお読みいただきありがとうございます。

もう夜中の1時を過ぎちゃいました。今回はこのへんで失礼いたします。

おやすみなさい。

 

緊急地震速報なんかやめちまえっ!

いやあ、16日はホントびっくりしましたね。

午後2時20分頃職場で

いつものように仕事をサボっていたあたしのスマホから突然の警報。

 

ゔぁあゔぁあー!ゔぁあゔぁあー!ゔぁあゔぁあー!

地震です!」「地震です!」(と言ったような気がしているんだけど…)

 

間髪入れずに他のスマホからも警報が鳴り響き、職場は一時騒然。

ナニナニナンナノナンナノ! ドシタノドシタノ?

なんとか言ってよっ! どうすりゃいいのっ!

 

血の気が引きまくり、緊張しまくり。です。

 

まさに悔い改める間もない突然の死刑宣告。

恐怖感から言葉も出ません。

 

ボーゼンと立ち尽くす者。

テーブルの下に隠れる者。

女子社員にくっつく者。

それを突き飛ばす者。

金庫を外に持ち出そうとするもの。

…は、いませんでしたが、み〜んな無言。

 

地震がくる、その瞬間をじっと待ちます。

めっちゃ怖い。

 

じりじりじりいまかいまかまだかまだか。

固唾をのんで待っておりました…。

 

「あれっ?、今揺れた?」

「ああ揺れた揺れた」

「これで終わり?」

「そ、終わり終わり。さ、仕事仕事」

 

幸いなことに当地はほとんど揺れず、あっけない幕切れでした。

よかったじぇいっ!

 

でも、函館方面ははたいへんだったみたいです。

まぁ、人命が奪われなかったのが救いですが…。

 

それにしてもさ。それにしてもですよ。気象庁さん。

少しでも早く知らせて危機に備えてねって気持ちは分かります。

分かるけどさ。

あたしも今まで何度か緊急地震速報は経験してるから

「ま、こんなもんだろう」とは思ってたけどさ…。

あの恐ろしげな警告音と無感情で無機質なアナウンス。

とつぜん

「お前らみんなこの地震で死ぬんだぞ」って教えられた感じ。

 

もんのすごい恐怖です。

おっかないです。

お化けが出る方がまだまし。

そう思います。

 

これが少なくても一時間くらい前に予告してくれるんなら、

「やるな気象庁」「さすが気象庁」って誉め称えます。

あたしでも。

 

でも、ほとんど次の瞬間に近い告知ですよ。

 

なんの役に立つの?

 

ひたすら恐怖をあおるだけ。そう思えてなりません。

なにも考えられなくなり、逃げることもできません。

たぶん祈ることも…。

いや、祈ることはできるかな?

「怖いよ恐いよコワいよぉっ! ああ神様、どうか命だけはお助けください」って。

でも次の瞬間ものすごい揺れ。

「ぎゃぁぁぁぁ!!!」

 

き、気が狂ってしまうわ。

 

あたしはなぜか、立ち上がって机の上のものを右や左に動かしていただけ。

いざ揺れたら机にしがみつこうとでも思っていたのかな。

できることなんてその程度です。

外へ走ったのは1名のみ。

あとで同僚からめちゃめちゃ冷たい視線をを浴びておりました…。

 

今回は当地では見事な空振りでした。

地震がこなかったのはよかったんですが、やっぱり不満は残ります。

さんざん脅かされて、それはないでしょって。

 

ヘンテコな形の二次被害者となった彼も思ったはずです。

「やるなら当てろ!」

 

その通り。

あたしたちだって死刑宣告されて、

寿命が短くなったんだから不満が残ります。

ホント生きた心地がしなかったんだから…。

 

それなのに

「わしらちゃんと教えてやったけんね」

「できることは全部やったけんね」

「責任ないけんね」

「生きるも死ぬも関係ないけんね」

的な考えが気象庁さん側にあるように思えてイヤな気分です。

 

「やるならもっと早く教えろ」

「やるなら当てろ」

「それができないなら〝やるな〟」

                     そう思います。

 

警告してほんの数秒で災害に見舞われるなら

いたずらに恐怖をあおる必要なんてないと思います。

 

ACかなんかのコマーシャルに

「直前までは普通の日だった」

というものがあります。

 

あたしはそれでいいと思います。

数秒前に知らされて、いらぬ恐怖を味わって

あげくに災害に巻き込まれて死ぬとしたら、

直前に知る必要なんてありますか?

 

一時間も二時間も前に予告されて、

いろいろな手段を駆使して災害から逃れようとしたけど

結果ダメだったというのとは明らかに違うはずです。

 

もっと研究を進めて予知能力を高めてから実用化するべきですよ。

いたずらに恐怖を与える権利なんか誰にもないはずです。

 

気象庁は、たしか昨年度は地震津波・噴火予知に12億円を超える

莫大な国の予算をいただいていたはず。

あのね、12億円だよ。12億円。

12億円も使ってなにをやってるんでしょう。

「予測は難しい」「予測は不可能」

そう言っていながら12億円も税金を使ったの?

ナニに?

そもそも昨年度予算では物件費より人件費の方が高いじゃん。

どういうこと?

そこらへんのこと、そのうちきっちり調べてやるからな。

首洗って待ってろよ!

 

あらら、気象庁の話になると、どうも気分が高ぶってしまうのね。

 

とにかくこんな精神衛生上よろしくないサービスなんかやめなさい。

まだ実用化には早過ぎますって。

ね、そう思うでしょ。

彼氏までついてきちゃったよ〜!

あたしの車は5人乗り。後部座席が3人掛けです。

でも、実際に3人座るとチョー狭い! 

ガリガリ君専用シートです。

それでも妹家族3人を空港まで迎えに行き、

乗せて帰ることができる予定だったんです。

が、ここで番狂わせ。

どこでどうなったか知りませんし、知りたくもありませんが、

「彼氏も一緒に来るんだって」

カミさんがぽつり。

 

「バカモンっ!! こっ、婚前旅行などけしからん! 

            わしの目が黒いうちはじぇったい許さんっ!」

 

そこいら中につばをまき散らかして磯野家の波平さんに変身です。

西洋で生まれ育った娘は、どうしてそうなんでしょうか。

同性のお友達とってのなら理解できますが、彼氏だよ、恋人だよ。

ホントにそんなんでいいの?

親も親だよ。

そんなふうに思っちゃいます。

あたしが古いの?

 

あとから聞いたら別に結婚することが決まったわけでもなくて、

ただ一緒に旅行したかっただけなんだって。

 

「なおさらよくないっ! そんな娘に育てた覚えはないっ!」

 

これがあたしの娘だったら、

怒鳴り散らして星一徹ちゃぶ台返しです。

断固阻止していたはず。 …かな? 

よかったわぁ、娘がいなくて。

 

定員5人の車に6人を乗せることはできても、

してはいけないってのが我が国のルール。

遵法精神に富んだあたしには、当然のことながら法を犯すことはできません。

 

「したら迎えに行っても乗れないべや。どうすんのよ」

「三男坊が行ってくれるんだって」

「なぬ!」

 

三男坊は、今年乗り換えばかりの8人乗りの中古のワゴン型車に乗っています。

燃費が悪く、ガソリンばらまいてるってぼやきながら…。

あたしと同じまちで働く社会人です。

そこそこの給料はもらっていると聞いていますが、

会えばいつもお金がなくてピーピー言ってます。

 

「はは〜ん。オフクロから大枚ぶんどる気だな」

あたしはすぐにピーンときました。

オフクロもかわいい孫に言われると、

すぐに目尻を下げて1万円を渡してしまいます。

 

「ばあちゃん、俺だけど…。今月めっちゃ厳しいんだよね」

「ばあちゃん、俺だけど…。函館に彼女と出かけるんだよね」

「ばあちゃん、俺だけど…。お金ちょうだい」

「ばあちゃん、俺だけど…。毎月の集金です」

 

なんだかんだの「おれおれ詐欺」野郎。

 

離婚して離れて暮らしてからも、オフクロんち通いは継続中です。

いい金づるだもんね。 ったく…。

オフクロもオフクロだよ。

年金暮らしなのに…。

えへへ。そんなに余裕あるなら、少しくらいあたしにもください。

 

なんやかんやで三男坊が迎えに行き実家へ無事到着。

 

「ナイストゥミーチュー」「ハーイ」などとチョー片言でごあいさつです。

娘の彼氏とも。

彼は「マイコゥル」という名前。

日本人的発音ならマイケルね。

がっしりしてて大きくてハンサムではないけど優しそうなヤツです。

娘と仲良さげにくっついちゃってさ。

 

 「ここはニッポンだから年頃の男女が体を

         少しでもくっつけると問答無用で逮捕されるぞ!」

 

って言いたかったのよね。

 

勇気を出して小さな声で言いました。

日本語で………。

 

だって、英語でどう言えばいいのよ!

わかんないわよっ! 誰か教えて!

自分に腹が立ちます。

妹家族が来るとホントいつもこんな感じ。

 

言いたいこと話したいことはいっぱいあるのに、

ほぼ100%話せない。

 

妹がそばにいるときだけ通訳してもらって少し理解できるけど、

毎回スピードラーニングしとけばよかったって後悔ばかりです。

そんな環境の中で、英語が通じたときはめちゃめちゃ感激します。

でも、返ってくる言葉が理解できないことが多くて、

またまたせつなくなっちゃうんですけど…。

やっぱ、スピードラーニングかなぁ…。

 

翌日は恒例のあたし主催の晩餐会。 

 

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居酒屋の一室で「飲めや歌え」の大宴会です。

あっ「歌え」はなかったわ。

 

「好きなもの飲んで食べて楽しんでね」って言っても

日本人なら遠慮ってものがあるでしょう。

最近はそうでもない人間が増えているのかもしれないけど。

あたしの勤め先のヤツらだって安いものを注文したりして、

あたしの顔色伺ってるもん。

 

でも、あいつらにはそれがまったくないんです。

 

ホント好き放題に注文しまくりやがってさ。

妹もいつの間にやら彼らに毒されて高額メニュー中心にオーダーしたりして。

あたしの顔を見て「ニヤ」って笑いやがんの!

にっくたらしいわぁ!

 

言葉は通じないけど、やっぱなんともいえない親近感があって

お互いになんとかコミュニケーションを図ろうとします。

お酒の力も借りて大袈裟なジェスチャーなんかも出てね。

けっこう大声で笑いあったり、それはそれなりに楽しめました。

ロバートも妹も喜んでくれていたみたい。

娘とマイケルも。

あたしもカミさんも楽しかったわ。

支払いするまでは…。

 

今月はあたしんところはチョー緊縮財政です。

トホホホ…。

 

翌日には、彼らは沖縄の石垣島に向かいました。

ゴージャスなバケーションですわ。

いつの間にブルジョワの仲間入りしてたのさ。

セレブだったの?

飛行機はファーストクラス?

 

ではないようですが、リッチだね。うらまやしい。

 

やたらとカタカナ言葉連発だね。

 

石垣島のあとは和歌山県のアドベンチャーなんちゃらでパンダを見るんだって。

 

やるなロバート。あたしより稼いでるな。お願い少し寄付して。

 

来週、再び実家に戻る予定です。

最後の晩餐はロバート主催。

たっかいもんばっかり注文しちゃるかんな! フンっ!

 

でも気のいいヤツなんだよね。

 

妹をもっと幸せにしろよ!

 

遅れてきた「5月病」

なんだか何もかもイヤになって、ひたすらユーツな気分なのね。

仕事も私生活も。

なんかイライラ。

オトコのコウネンキ?

初老のウツ?

ココロのヤマイ?

ガウチガウ、絶対違う!

 

ほら、年をとると感覚が鈍くなって、

筋肉痛も次の日には現れず二日や三日経ってから

「イテテっ」ってなるっていうでしょ。

きっとそれよ…。

 

本来なら五月に感じなきゃならないこの憂鬱感。

年をとって鈍くなったもんだから六月に症状が出ちゃったんだわ。

きっとそう。

 

あたし「五月病」よ。

 

とにかくやることなすこと全部面白くない。

諸行は無常。

生きてたっていいことなんかありゃしない。

わかっちゃいるけど死ぬのが怖いから生きてるだけ…。

 

若者よ! 死にたきゃ死ね。

そんなの自由だ。勝手にしろ。

周りに迷惑かけず、生きた形跡を一つも残さず、

誰も嘆かず悲しまず、葬式をあげる心配もない。

それができるなら好きにしろ。

 

別に若いヤツになにかされたわけじゃないけど、

八つ当たりしてやる。

フン!

その若さがねたましいっ!

 

………。

 

あたしの五月病、ホントの原因はほかのことなのよね。

 

実はさ、あした妹家族が帰ってくるんです。実家に。

2年に一度の帰郷なんです。

 

以前にも書いたんだけど、

妹はイギリス人と結婚してロンドンで暮らしています。

旦那さんは作家。

日本ではぜんぜんマイナーだけど、本国ではそれなりに稼いでいるみたい。

映画やテレビの裏話的なことを書いて。

 

で、そいつが日本語を覚える気がまったくないわけ。

 

「コニチワ」「サヨナラ」程度はいうけど、

どうも英語が一番てっ気が強いみたいなのね。

服装はいたってラフなくせに、

アメリカの英語もあんなの英語じゃねぇって感じで語っていたし。

 

あっ、もちろん、すべて妹の通訳で理解したんだけどさ。

んでね、あたしも当然ながら英語ができないわけ。

学校でさんざん苦労させられたけど、

基本的な単語すら覚えちゃいないから、言葉が出てこないのよね。

 

そんな二人が面と向かって対峙すると、ものすごい緊張感なのよ。

 

お互いに無視することもできず、

あたしは心の中で英語の辞書をめくって必死に言葉を探して、

あいつも、無言の圧力に押されてぽつりぽつりと言葉を発するんです。

英語で。

ってお前、心の中の日本語辞書はどうした!

せめて1ページくらいめくろうよ。

お願いだから…。

 

もうこれは都会の一方通行だらけの道路ですよ。

 

逆走チャレンジは、当然のごとくものの見事にすぐ大破。

結局、だまって見つめ合ってほほえんで悲しげに目をそらして沈黙…。

 

おいっ、なんとかしろよ ロバート!

 

お前が弟なんだから。

日本じゃ目下のものは目上のものに従うって法律があるんだぞ!

日本に来たんだから日本語で話せ。

わかったかっ!

 

その代わり、あたしがイギリスへ行ったら英語で話してやるから。

 

にゃはは。ぜってー行かねー。

 

おまけに一人娘も日本語を覚える気がないんです。

大学生だけど日本語は専攻しなかったんだって。

 

ああそうですか。

ったく。

 

結局、妹がいなけりゃ、まったく会話が成り立たない状況が

かれこれ2週間以上続くんです。

 

なんで向こうの休みは、こう無駄に長いんでしょうか。

なにがバカンスだ。

バッキャロー。

 

労働者が働かないでどうする!

あたしが若い頃なんざ、日曜日も朝から晩まで働いたもんだ。

それで今の日本国を創りあげてきたんだぞ!

……。

えへへ、毎度恒例のウソをついちゃいました。

 

そんなわけで、2年ごとに押し寄せる里帰りの波状攻撃に

来る前からまいちゃっているわけなのね。

はぁあっ、

ユーツだわぁっ!