kunbeのあれこれ雑記帳

日々の暮らしの中で感じたこと思ったことを、わかりやすく、おもしろく、それなりに伝えようと思います。

醤油とソースとマヨネーズ、そしてケチャップ

 天ぷらにソースをかけますか?

 いいえ、あたしは酢と味噌です。

 さすがに、そんな人はいないとは思いますが…。

 狭いようで広い日本、個人の嗜好は判りません。

 考えてみると、食べ物に付けるものってのは、実に様々ですな。

 今回は、日本人なら誰もが使っている醤油とソースとマヨネーズとケチャップのどれが一番かを、考えちゃいます。

 

 実は「天ぷらにソースをかけますか?―ニッポン食文化の境界線 (新潮文庫)」

 

 という本を少し前に読みまして、フムフムなるほどと影響を受けたものですから、

何か書きたくて仕方がなくってさ。

 この本は、日本経済新聞社の記者の方が執筆されているんですが、同社のホームページを使って、アンケートを取り、結果をまとめたものらしいです。

 もちろん執筆者の視線も十分に反映されていて、独自に調査した内容なども掲載されています。

 当たり前の事ですが、新聞記者の方が書いた文章ってのは、端的にまとめられていて、非常に読みやすく、あたしは古本屋でで買ったのですが、「お値段以上ニトリ」ってくらい十分に楽しめました。

 食に関する随筆はけっこう好きで、比較的よく読みますが、こういった調査報道的なものは事実関係がしっかりしているので、個人の感覚論に陥りがちなこの分野でも、異彩を放っており、秀逸です。

 あれっ、なんだか偉そうに書いてしまいました。

 この本には項目ごとに日本地図が載っていて、分布図になっています。天ぷらにソースをかける地域は西高東低など、一目で分かるような工夫は面白い取り組みですね。

 一読をお勧めします。

 

 実は天ぷらには、苦い思い出があります。

 上京したての青二才が何の知識もないまま浅草は浅草寺界隈を訪れ、昼時をやり過ごして午後2時過ぎに友人と天ぷら屋に入りました。店名などはまったく覚えていませんが、そこの天ぷら屋は、揚げたての天ぷらを塩で食わせる店だったんです。当時のあたしは、天ぷらは天つゆをつけて食べるものと信じ込んでいましたから「天ぷらに塩? ざけんなこのっ! けちけちしてねぇで天つゆを出しあがれっ!」てなもんで、そこの親父と大げんか。親父さんも威勢のいい方で、一歩も引きません。さんざんののしり合った挙げ句、お金を払わずに出てきました。

「二度と来るんじゃねぇ!」

 親父さんの罵声を背中で聞きながら…。

 その時は親父さんが間違ってるとばかり思っていました。

 数年後に塩を付けるという食べ方があって、それがおいしい食べ方だと知るまでは。

 あ〜、今思い出しても恥ずかしい。親父さんごめんなさい。

 田舎生まれで田舎育ちの田舎もんは、全然知らなかったんです。天ぷらに塩、がすごくおいしいってこと。

 今でこそ、みなさん当たり前のようにやられてますが、当時はいわゆる“通”の食べ方だったようで、一般的ではなかったはずです。違うかなぁ…。

 

 さて、 あたしには、天ぷらにソースをかけるという発想がありませんでした。ま、天ぷらに限らず、すべてにおいて発想が貧弱ですけど…。

 んで、実際にやってみると、サツマイモの天ぷらには、よく合うような気がしました。エビとイカはお勧めしません…。

 

 和食には醤油、洋食にはソース。

 親の影響でしょうか、あたしの中には、そんな線引きがあります。

 でもまぁ、食べるものに何かを付けるとした場合、醤油ってのは比較的万能で、何にでもそこそこ合う気がします。

 そこへいくとソースは、違うものに取って代わられることが多いようです。

 例えばトンカツ。

 醤油でも何とかなるし、ケチャップやマヨネーズでも、まあまあいけるように思います。

 世の中にはトンカツソースなんて代物もありますから、

「オラオラ! トンカツにはおいらが一番だかんね! 一歩も譲らないけんね!」

 と、えらい剣幕でまくしたてても、

「まあまあ、少し落ち着いて。あなたの気持ちも判るけど、でもあたしはマヨネーズの方が好きだから。また今度ね」

 てな具合に、簡単に脇にうっちゃられてしまう…。

 イマイチ押しが弱いんですな。

 そこへいくと、醤油さんはドーンと構えていて「使いたければ、いつでもどうぞ」的な、何か王者の風格みたいなものが漂っております。

 マヨネーズやケチャップも醤油の前では、

「あ、いや、別にあたしたちは、そんなつもりじゃありませんから。あなたに逆らおうなんてこれっぽっちも考えていませんよ。ホ、ホ、ホントです」

 なんて、少々ビビりがち。

 そんな風に思えませんか?

 近年、世の中には「マヨラー」なんてヤカラが出没いたしまして、醤油様の地位を脅かし始めています。

 なんたって、このマヨラーなるものたちは、ゴハンにまで直接マヨネーズをかけちまうという、掟破りの荒技を平然とやってのける無法地帯出身です。

 最近はあまり聞かなくなりましたが、地下に潜り込んでレジスタンスさながらに、ゲリラ化しているのかもしれません。そうなってくると、醤油様の地位も安泰とはいかなくなる可能性も十分に考えられます。

 いくら醤油様といえども、さすがにゴハンに直接かけるってことは、しないですもんね。

 卵かけ御飯は朝ご飯の定番ですが、それでも生卵との最強タッグでゴハンにかかります。

 醤油様はけっして単独でゴハンには挑みません。

 主従を知り礼儀をわきまえた立派なお方なのです。

 武士道にも似た精神が宿っているとは思いませんか? 思わないかな? ……。思うはずない? ですよね。……。

 直接ゴハンにかけるんなら「ケチャラー」もありかもしれません。

 チキンライス風で意外といけそうにも思えます。

 さすがに「ソーラー」はいないんじゃないかなぁ…。

 やっぱり、ソースは押しが弱い。

 「そーっすね」。

 だれか言ってくれぇ!