kunbeのあれこれ雑記帳

日々の暮らしの中で感じたこと思ったことを、わかりやすく、おもしろく、それなりに伝えようと思います。

雪降る夜に

  はじめにお断りしておきますが、

 あたしは冬が大嫌いです

 寒いし、余計なお金がかかるし、することないし。

 そんなあたしを挑発するように、やらかしてくれました冬の野郎が。

 雪です。

 昨日の夜から降っていたらしく、今朝は一面の雪景色。

 どこで修行を積んだのか忍者のように忍び込んで、辺り一面一夜で真っ白。

 クッソーっ。油断してました。

 警戒態勢を解除していました。

 先祖代々の言い習わしで、この時期はいつでも臨戦状態でいなければならないのに。

 ご先祖様に叱られます。孫子の代まで恥が語り継がれます。

 

 しかし、敵ながら音も立てず、まったく気がつかせない、腕前は鮮やかです。

 悔しいけど認めます。

 …………。

 でも、

 でもね、

 でもですよ。

 この野郎は、降ったら降りっぱなしの、だらしのない野郎なんです。

 雨と違って、雪はそこら中に残るんですよ。わかってんのか!

 ちょっとくらいの水溜りたぁ訳が違います。

 除雪の度に道路脇には雪の壁が出来上がり、見通しが悪くて危険です。

 交通事故があちこちで頻発します。

 おい、こら、冬。

 お前責任とれんのか!

 

 しかも、こそこそと好き放題にやりあがって。

 

 手品師は、観客の前で堂々とやってんだぞ。

 それに比べて、何だお前は。闇にまぎれてヘナマずるい。

 情けないと思わんのか、この卑怯者がっ。

 もっと正面切って正々堂々とやれってんだ!

 

  たとえばさ、

 

 「え〜、みなさま、たいへん長い間のご無沙汰でございます。冬将軍でございます。久しぶりに当地へやってまいりました。あたくしどもの商売も、今が書き入れ時でございますから、来たい気持ちがあってもなかなか思うにかなわず、スケジュールの調整に調整を重ねて、ようやく実現いたしました。待ってたでしょ。寂しかったでしょ。皆まで言うな皆まで言うな。あはは、何だか遠距離恋愛みたいでやんすねぇ。熱い思いは雪をも溶かす、なんちゃって。えぇ、まあ、あたくしどもは溶かされちゃあ、かないませんですけどね…。で、こちらの地域では、冬だってぇのに雪が少ないんですってねぇ。えっ、ずっと前から…。そりゃいけませんですなぁ、だって冬ですよ。冬っていったらアアタ、雪とセットみたいなもんじゃないですか。あたくしども冬将軍特別編成チームも従来、雪とセットで販売させていただいてるんですよ。えっ、知らなかった?。ほんと、そうですか。まだ宣伝が行き届いてないんですね。扱うものが雪なだけに、雪届かない、なんちゃって。えへへ、はい、すいません、面白くもないことペラペラとしゃべりすぎました。それでは気を取り直してまいりましょう。冬といえば雪、季節の風物詩。今夜は存分にお楽しみください。われわれが開発したスーパーイルージョン。超乱舞積雪降雪豪雪の舞。いつもより多く降らせますぅっっっ!」

 

 ってくらいの口上で、ショーアップして見せろってんだよ!

 このすっとこどっこいが!

 それからなぁ、後始末もちゃんとやってけ、ばかたれが。

 わしら総出で朝からひぃひぃ言いながら、お前のケツ拭かされてんだぞ!

 雪を降らせたら、後からちゃんと塩カリを撒いて、きれいにしていけ!

 いい気になりあがって。

 今度合ったら、首根っこ押さえつけて融雪剤飲ませてやるからな!

 覚えとけっ!

 あ〜腹立つ。

 

 あたしが住んでいる所は、北海道でも比較的降雪量が少ない地域なんですが、だいたい毎年、この時期にはよく降るんです。

 前の日から降り続いている場合は「あ〜雪かきしないとな」って、あきらめもつきますが、今朝みたいに、

「えっ、いつ降ったの? マジかぁ…」

って思ってるところに、

「お前さん、のんきに朝ご飯なんて食べてる場合じゃないよ、急いで雪かきしなきゃ仕事に遅れちまうよ」

 なんてカミサンにケツをひっぱたかれて、外に追ん出されるという状態になると、急激に冬将軍が憎たらしくなります。

 ところで、いつ、どこで、だれが、どうして冬将軍なんて呼名を使ったんでしょう。

 冬が将軍なら夏は天皇かっつーの!

 そうじゃなきゃ収まりませんよ。

 そうなると春と秋は、何となく宮中に仕えるお偉いさんぽい大納言なんてどうでしょう。いずれにしても、冬以外は、由緒正しいお公家様か、万世一系の天皇家かってくらいで、格の違いをしっかりと強調しなければなりません。誰でもなれる将軍なんぞと同列には扱えませんよね。

 あたしだったら冬将軍なんて言い方は絶対しません。

 冬が大嫌いですから。

 子供の頃はアイスホッケーなんぞをやっていたんですが、大人になってからは、スキーもスケートもやったことありません。

 理由はただ一つ、寒いから。

 それに尽きます。

 水道の凍結に気は使うわ、

 道路での転倒にも気を使うわ、

 車の運転にも気を使うわ。

 暖房代はかさむわ、

 カミサンの機嫌にも気を使うわ、

 あっ、これは季節に関係なかった…。

 いいことなんて一つもないのね。

 だから、とにかく蔑む言葉を浴びせまくりたいんです。

 どうかしてるかもしれませんが、ただただ来る日も来る日もひたすら寒いだけの繰り返し。

 正直うんざりです。

 毎年毎年飽きもせずにさ。

 アンタもよくやるよ。

 

 半袖で魚釣りができる夏が好き、

 夜になっても寒くない夏が好き、

 お日様が出ている時間が長い夏が好き、

 ついでに女の子が薄着になる夏が好き、

 なんです。

 いっそのこと、冬っていう言葉自体を変えちゃいませんか。

 恥ずかしくて、のこのこ人前に出てこられなくなるような。

 季節はみんな漢字一文字ですから、それに倣えば貶めるような漢字は「貶」とか「賤」とか「卑」かな。

 個人的には、ボケナスとかスットコドッコイとかでもいいと思っています。

 春夏秋冬も春夏秋ボケナスってなるけど、かまやしません。

  テレビのニュース番組なんかで

 「今年ももうすぐスットコドッコイの季節が訪れます。気象庁の3ヶ月予報によりますと今年のスットコドッコイは平年並みで、それほど厳しくはならないだろうとのことです。やはり呼び名が変わったことで、暴れづらくなっているようです。よかったですね」

 なんてことになると思いませんか。

 思うわけないか…。