kunbeのあれこれ雑記帳

日々の暮らしの中で感じたこと思ったことを、わかりやすく、おもしろく、それなりに伝えようと思います。

あなたまかせの年の暮れなのだ

今年も残すところ後10日。

年末だ歳末だとスーパーマーケットやショッピングモールは、

いつも以上の人ごみです。

ところで年末と歳末って何が違うの?

「年」が基準か「歳」が基準かで使い分けするみたいだけど…。

オーッ! ニホンゴ トテモ ムズカシイレース。

ホントだね。日本語ぺらぺらの外人さんには頭が下がります。

そんなことはどうでもいいんですけどね。

 

レジじゃ、商品をいっぱい買い込んだおばさんやお婆さんたちに混じって、

最近はおじさんやおじいさんも頑張って並んじゃってね。

うんざりするほどの長蛇の列。

それを見ちゃうと、買い物なんかやめて家に帰りたくなっちゃいます。

でも、並ばないことには品物が買えませんから、

やむを得ず、仕方なく、歯を食いしばって、泣く泣く、相当の覚悟を決めて、

それでも嫌々、並びます。

店員さんのスキを見て一目散に駆け出せば、

ひょっとしたらお金を払わなくても、商品が手に入るかもしれない、

などと考えたりもしちゃいます。

 

およそ2年間、やもめ暮らしをしてたときなんざ、

食パン1個買うのに30分以上も待たされたりするのが嫌で、

何度も何度も逃走を考えました。

 

でも、実際にはやってませんよ。

いい年こいてジャン・バルジャンになるのは怖すぎました。

 

ともかくも あなたまかせの 年の暮(くれ)

 

 唐突に小林一茶の俳句です。

 この歌は、いつもこの時期になると思い出しちゃいます。

「あなたまかせ」ってのがいいですよね。

しかも、最初に「ともかくも」と来てますから、

いろんな人が、あーだこーだなんだかんだと言っても、

結局あたしはあなた次第です。どうぞお好きにしてください。

みたいな意味にとれちゃう…。

えへへ。妄想がふくらんじゃいます。

 

世間じゃあなたの悪口ばかりが聞こえてくるけど、

あたしは、そんなあなたにぞっこんなのよ。

あたしをこんなに惚れさせて、ホントにワ・ル・イ・ヒ・ト。

もうどうにでもして♡ うっふん♡

 

ハァハァハァハァハァ。

こんなふうに艶っぽい女性から言われてみたい。

そう考えてしまいます。

 

でも実際は、この句の「あなた」は阿弥陀如来様なんですって。

色気もなにもありゃしません…。

あ〜あ…。つまんないな。

信仰心の薄い下品なあたし的には、がっかりの内容になっちゃいます。

せめて弁天様なら…。酒池肉林の乱交パーティなんて妄想もできそうですが…。

 

でもさ、本意がどうあれ、この句から想像できるのは、

やっぱり艶っぽい話じゃありませんか?

 

行きつけのスナック。閉店間近。ほかの客が帰ってママと2人。

 

「年越しは温泉にでも入ってのんびりしようと思うんだ」

「あら、いいわねぇ」

「どうだい、一緒に行かないか」

「宿に泊まるの?」

「やっぱりダメか」

「そんなこと…ないわよ。あなたとなら…」

「えっ、ほ、ホントかい。い、いいのかい?」

「ええ…。私ほんとは、あなたから誘われるの…、ずっと待っていたの…」

 

全身心臓鼻血ドバーっ! って状況。 

 宿に着いた後は、もう覚悟を決めてるからママの方が主導権を取っちゃいます。

「ここ、混浴もあるんだって。一緒に入る?」なんて…。

「えっ!」

驚いてふり向いた男の前には、宿の浴衣に着替えようと下着姿になったママの姿。

脈拍急増鼻血ドバーっ!

男なんてヤツは下心ばっかりで、いざという時に機転が利かない

馬鹿な生き物ですから、いきなり抱きついてコトを始めようとしちゃう…。

 

「いやん♡ ちょっと待って♡ まずはおフロに入りましょ。二人っきりで♡」

軽く唇にチュッ なんてされて男はますます有頂天。

理性崩壊鼻血ドバーっ!

 

で、あえなく失血死。チーン…。

 

きっと世の中には、こんな幸せな男がいるんでしょうね。

いいな。うらやましいな。ねたましいな。呪ってやろうかしら。フン!

 

宝くじなんか当たらなくていい。

明日、交通事故で死んでもいい。

でも、その前に……

一度でいいから色っぽいオネエサンに言い寄られてみたいっ!

世の男性の大多数が同じ意見だと思います。

妻がいようが彼女がいようが、それとこれとはまったく別物。

女性が「デザートは別腹」って言うのと似てる気がします。

男にとって「浮気は別腹」ですっ!

ね、みんな。

……あれっ?

イテテテッ、冷たい視線が突き刺さるわ。

 …

 

ところで、艶っぽいといえば

あたしの好きな歌人に三橋鷹女って人がいるんですけど、

この方の句がすごい。あたしは「ドS」人と思っています。

 

鞦韆は 漕ぐべし愛は 奪ふべし

しゅうせん(ブランコ)は こぐべし あいは うばうべし

【解釈】公園のブランコに乗ったら1回転させるくらいの勢いで思い切り漕ぐのよ! できないなんて言わせないわよ。ビシっ(ムチの音)。わかったらさっさとやりなさい! 早くっ! いいこと、私のことが本気で好きなら、命がけで奪いに来ることね。そうしたらたっぷり可愛がってあげるわよ。ボーヤ。うふふ。わかったわねっ! ビシっ。

堕ちてゆく 炎ゆる夕日を 股挟み

おちてゆく もゆるゆうひを またはさみ

解釈】私の股には挟めないものなんてないのよ! 朝日だって私の股から昇るのよ!ビシっ。さぁ、あなたも今夜は私の股に挟まれて眠りなさい。うふふふふふ。うれしいでしょ。ビシっ。

ひるがほに電流かよひゐはせぬか

ひるがおに でんりゅうかよい いわせぬか

解釈】ねぇ、ヒルガオには電流が流れていると思わない? この蔓(つる)が電線ね。なにキョトンとしてんのよ。そう見えるでしょっ。そう思うでしょ。思いなさいよ! ……。さあ今日は電流プレイよ! これで少しはシャキッとするでしょ! 容赦しないわよ。覚悟おしっ! ビリビリビリビリ…。

夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり

なつやせて きらいなものは きらいなり 

【解釈】私は女王様なのよ! わがままな生き物なのよ! 文句ある! 死んでも嫌いなものは食べないの! 

白露や 死んでゆく日も 帯締め

しらつゆや しんでゆくひも おびしめて

解釈】そうよ私は女王様よ。いつだって黒いガーターベルトは必要なの。もちろんムチもね。そしてあなたは死ぬまで私の奴隷よ。うふふ。わかったらひざまずきなさい!

みんな夢 雪割草が 咲いたのね

みんなゆめ ゆきわりそうが さいたのね

【解釈】キャーッ! 変な夢見ちゃった! 私がドSの女王様の夢…。あ、現実もそうだったわね。うふふふ。ねぇ見て。いつの間にか雪割草が咲いてるわ。なによ、これ見よがしにか弱そうに震えて…。フン。全部踏みつけてやるわ。20センチのハイヒールで。オーホッホッホッホッ。あなたもこうしてほしいでしょっ。震えてないでお返事なさいっ!

 

と、まあこんな感じの俳句がたくさんある方で(あたしの解釈はデタラメですが)

1972年まで生きていらしたんですね。

気高く凛とした姿勢が、読み手には強烈な印象を与えます。

実際どうだったのかは知りませんが、激情型の女性像が迫ってきますよね。

だからってドS呼ばわりしちゃ失礼かとも思いますが、

ある種ヒステリックな作風はあたしの中ではやっぱり「ドS」です。

でも女性の場合、ドSに見えても実際はMってこともよくあるので、

歌の印象だけで決めつけられませんが…。

 

信仰の歌人 小林一茶

 

さて、冒頭の「あなたまかせの年の暮れ」ですが、

もともと浄土真宗の門徒の家に生まれた小林一茶さんは、

信仰に厚い方だったようです。

50歳を過ぎてようやく結婚して、わっかい嫁さんに次々と子どもを産ませます。

でも、その子どもたちは、みんなすぐに死んでしまう。

これにはさすがの一茶さんも、相当まいったようです。

ようやく生き延びた娘も、1年後には病気で死んでしまうんです。

さらに奥さんまで死んでしまいます。

まるでなにかの呪いにかけられているように思えちゃいますね。

 

こんな目にあわされたら、あたしなら信心なんてやめちゃいます。

それどころか「こったら仏にゃなんの力もねぇ!」って言いふらして

ほかの人の信仰の邪魔に走ると思います。

でも一茶さんは違います。信心は捨てません。

しかも、その後2回も結婚します。

モテモテじゃん。精力絶倫じゃん。

あたしは2回しかしてないし。ぜんぜん絶倫じゃないし…。

いいな。うらやましいな。

 

ただ、生い立ちから死ぬまでが、けっこう波乱に満ちていて

可哀想な人生を歩んだ人でもあります。

65歳にして授かった子どもが生まれる前に、自身は死んでしまいます。

皮肉にも一茶さんの死後に生まれた子どもは順調に成長…。あまりにも悲劇的です。

残酷な運命に翻弄された歌人です。さぞ心残りだったでしょうね…。

 

平易な言葉で分り易い句が多く、親しまれている方ですが

どこか寂しげな部分が見え隠れしますね。

あまりにも有名な句が多いですし、

あたしが知っているのも、その範疇(はんちゅう)を出ませんから、

あえて紹介はしませんが、あたしの大好きな歌人の一人です。

人間的な部分が見えるという意味では芭蕉より好きかも。

ただ、いずれの句も優しさと哀しさが感じられると思います。

どこかピエロに似た哀愁が漂っている…。そんなふうに思えてなりません。

 

 

あたしの和歌のバイブル

 

以前にも書きましたが、

言葉の響きが好きで、俳句や短歌の本もそれなりに読みました。

あたしが入門書として愛読したのは、大岡信さんの「名句 歌ごよみ」です。

季節ごとにまとめられていて、万葉集から現代歌人まで

様々な歌が解説付きで掲載されています。

 

 季節ごとのほかに「恋」編もあります。

ちょっと時間が空いた時に一つ二つと読めるので、とても便利です。

そして筆者・大岡信さんの博識には驚かされます。

東大卒ってすごいなぁって思っちゃいます。

あたしのお薦め本です。興味を持たれたらぜひ読んでみてください。

 

 久しぶりに更新したのに、イマイチ盛り上がることなく終了です。

ようやく仕事も段落就いたから、また明日も書こうかな。

どうせ面白くないけどさ。フン!

 

今回も懲りずに読んでくださいました方々に

心から厚くお礼申し上げちゃいます。

see you soon! ありがとちゃん!