kunbeのあれこれ雑記帳

読んでくれた人がクスッと笑えるような事柄を、時には事実に基づき、時にはウソ八百を書き綴ります。

やるな若造! ちゃんと考えてんのね

職場の若造が本を2冊貸してくれました。

「沈みゆく大国アメリカ」〈逃げ切れ!日本の医療〉(堤 未果、集英社新書

「日本で100年、生きてきて」(むの たけじ、聞き手・木瀬 公二、朝日新書

2冊。今回は、この2冊の感想文をまじめに書きたいと思います。

 ●沈みゆく大国アメリカ

 

沈みゆく大国アメリカ (集英社新書)

沈みゆく大国アメリカ (集英社新書)

 
■なんでも金儲けの国

沈みゆく〜は若手女性ジャーナリストの温かくも鋭い視点でアメリカの医療制度の実態と日本の皆保険制度の危機を訴えた力作。

しかしまぁ、アメリカって国は何でも金儲けの材料にしちゃう国だってことが痛いほどよく分かる内容です。

保険会社と製薬会社がよってたかって、徹底した政治家の買収とマスコミの買収で〝安い保険料で万人が良質な医療を受けられる〟新しい試みの理想を完全に骨抜きにして、自分たちの利益が上がる仕組みにすり替えてしまいます。

すっかり形骸化した制度の下で、現場の医者や患者は、精神的肉体的金銭的負担が重くのしかかり、やりたい医療ができない(煩雑な書類処理)、受けたい医療が受けられない(お金)という悪循環にあえぐ事態になっているんだとか。

1%の超富裕層と99%の貧困層に格差がはっきりしたといわれるアメリカは、今後どのようになっていくのでしょうか。人間の命も金儲けの対象にしちまうって考え方には、ヘドが出る思いです。いい加減にせーよ! 金の亡者ども!って叫びたいくらい。

 ■日本にも危機が来る?

でも、そんなことより日本が心配になってくるのね。この本を読むと。

ご承知の通り日本には国民皆保険制度というものがございます。

国保」だったり「共済」だったり、ちょっと差別的に区別されていますが、それでも医療費の自己負担は実費の3分の1程度でまかなわれていますね。今のところ。

虎視眈々と国民皆保険制度に、アメリカの保険会社などがTPP条約批准を契機に参入を狙っているというんです。油断ならんわ。

現在でも医療特区とか聞こえのいい名前を付けて、アメリカ資本の参入を許し始めているとも書いています。

なんだかやばいぞってヒヤヒヤしながら読んじゃいました。

本書にも書かれていますが、日本の国民皆保険制度はすばらしいものです。他国にはあまり例がないような仕組みで、一見社会主義国の制度にも見えるものですが、日本国憲法で謳う「生存権」を具現化した、まさに国民のための制度といえます。ですから、これを守っていくことは、とても大切なことなんだって、気づかせてくれます。

その国にはその国のやり方があって当然で、歴史や風土や習慣が大きな影響を与えているんです。それがいわゆる国の形なんですよね。

だから外国のやり方や習慣が我が物顔で日本に入ってくると、ものすごく違和感を感じちゃいます。あたしはグローバル化には反対なのね。

だから日本の企業が「会社内では英語で話すように」なんて決めたって聞くと「バカじゃないの」って思っちゃいます。みなさんもそうじゃない? そういいながらもユニクロは買っちゃうけどさ。

 ■希望の火は消えない

本書には、アメリカでもオバマケアから離脱して保険制度を利用せずに診療する動きが広がりつつあることも書かれています。

医師と患者がじっくり向き合い、何がベストかを真剣に考え実行する人間的な医療が、静かに熱く粘り強く新たな取り組みが始まっているんですって。

少しホッとしました。

アメリカ人にも強欲じゃない人がいたんですね。安心安心。

 

注目すべきは、日本が高齢化で国の医療費負担が急増というのが、どうやら根拠の怪しいプロパガンダだってことにふれた部分。

あのね、日本国内の高齢者の医療費とそれ以外の人の医療費ではそれほど大差ないんですって。日本医師会の調査によると。

医療費高騰の真犯人は医療技術の進歩と新薬開発なんですってよ、奥さん!

とにかく最新技術や新薬は高額らしいです。外資系製薬会社などのおかげで。

さらに日本の国の医療費負担は諸外国と比べてかなり低い水準だとも書かれているんですよ! 奥さん! しかも、患者の自己負担率は逆にかなり高いとも。

そうだったの? 知らなかったわぁ!って思うでしょ。あたしもそう思いました。

国の借金が膨らんだから社会保障にまわすお金がない。

医療費を減らしたり増税をしなければならない。

というのは真っ赤なウソ?……むむむ。国も政治家も信用ならんな。

アメリカの製薬会社から仕入れる同じ新薬が、日本では840万円かかるのにイギリスでは500万円、エジプトでは10万円ってことが現実にあって、事実なんだって。

このカラクリはめっちゃ単純。クスリの値段を決めるのが製薬会社だからです。

足下を見て商売しあがって! やってらんねぇ!って思いません? ざけんなよ。日本をなめとんのか! も1回戦争しちゃるぞ!って気にもなっちゃいます。……。

そうはなりませんが…。

ほとほとアメリカの金の亡者はロクなもんじゃありませんね。まぁ、言い値で買う日本も日本ですけど。結局言いなりなのね、頼りないなぁ日本の外交。

外交は頼りないけど、地域は頼りになる存在のところもあるようです。

医療で地域おこしを実践しているところが紹介されています。

長野県佐久市の佐久総合病院と千葉県鴨川市館山市亀田総合病院グループ。

こういうところがあるとまだまだ日本も捨てたもんじゃないと思えてきます。

こんなところに住みたいって思わせてもくれます。

 

アメリカの医療実態を紹介しながら日本の医療問題も浮き彫りにする、

ぜひご一読いただきたい一冊です。

 

 ●むの たけじさんをご存知ですか?

 

日本で100年、生きてきて (朝日新書)

日本で100年、生きてきて (朝日新書)

 
 ■大正生まれの骨太ジャーナリスト

新聞記者にとっては伝説の人である「むのたけじ」さんは御年100歳。敗戦の年に日本人の戦意高揚に関与した責任を取り朝日新聞を辞め3年後に帰郷して秋田県横田市で週刊新聞「たいまつ」を創刊。780号まで続けた希代のジャーナリストです。

スタンスは一貫して反戦平和。

「死ぬときが人間てっぺん」は、あたしの胸に深く刻み込まれた名言中の名言です。

これでも、あたしも若いときにちっちゃな新聞社の記者をやっていたもんですから。

下手な記事ばかり書いて、いっつも起こられてましたけどね。

本書は、朝日新聞の岩手版と秋田版に掲載された連載から86編を選抜して文庫化したものです。一遍一遍はとても短いので、あっという間に読み終えてしまいます。そういった意味ではちょっと物足りないかも。

すっかり好々爺に見える今でも、相変わらずの鋭い指摘。体験や経験に寄り添い、熟考した上で吐き出す言葉には重みがあります。

■地域から世界まで縦横無尽

「敵だからこそ残そう」は読んでうれしくなります。

反体制でアカのレッテルを貼られていたむのさんの書いた本の出版祝いをしようと、当時の市長と市の課長、商工会幹部の3人が呼びかけて祝賀会を開いてくれました。

彼らは当然のことながら保守。町を動かす実力者たちです。それが反体制で敵であるむのさんを祝うというんです。

「なぜか」とのむのさんの問いに「たいまつ(新聞)はわしらの敵だ。だからつぶすわけにはいかない」って。「それに負けないためにオレらも頑張れる」って。

度量の大きい人間たちです。

今では敵はつぶせ、意見が違うものは排除しろ、が当たり前ですよね。

むのさんも書いていますが、ネット右翼だのブログ炎上だの、ただ言いたい放題では言葉はその役目を果たしません。言葉が今ほど無責任な道具になってしまった時代はなかったと言います。違う意見があって、それに打ち勝つために考え行動することで自分も成長し前進できるってことね。

「敵から学ぶ」。今さらながら大切なことに気づかされました。

 

「ニセモノはみんな仰々しい。ホンモノはみんな素朴だ、ひっそりと」はむのさんの詩集にある言葉ですが、それを引用して安倍晋三の安保法制もばっさり切り捨てちゃいます。

集団的自衛権を使えるようにするために、段階を踏んでものすごく周到に準備してきたとむのさんは分析。景気をてこ入れして企業を元気づけ、ある程度人気が出たところで積極的平和主義を唱え、戦争とは無関係な印象を植え付けながら、特定秘密保護法をやる。

さらに集団的自衛権の解釈を変えてしまいました。

むのさんは言います。

「長く言葉の仕事をしてきた人間として、誠意を持って正直になればなるほど言葉は簡単になると確信しているんだ。あれこれ言っているときは本心を隠しているときか自信がないときだ」

実感しますね。あたしもそうだもん。ごまかそうとすれば必要以上に饒舌になっちゃって、ウソがバレちゃいます。

むのさんはこうも言っています。

「平仮名で簡単にいえるようになるまで、議論しなきゃダメだ」

パチパチパチ、喝采です。

 

また昨年2人の日本人がイスラム国に殺された件では、安倍晋三の発言にもきっちり切り込んでいます。

あのとき安倍晋三はわざわざエジプトまで行って、イスラム国を刺激するように対イスラム国支援に2億ドル支援を宣言した上で、

「国民の生命財産は国家が守る。その最高責任者は私である」と言い放ちました。

本当に国を思い国民を思っての行動なのか、手柄を立てたかっただけなのか。検証が必要でしょうとした上で、本当に必要なのは対話だけだと指摘。それが積極的平和主義だとも言っています。

本書の中程に「戦争とは何か」のインタビュー記事が載っています。

むのさんは敗戦の日「負け戦を勝ち戦と書き、戦争遂行の手助けをした責任を取る」朝日新聞社を辞めました。従軍記者としてジャワや中国の戦地を回り、悲惨な状況をその目で見てきた人です。

「戦場に行けば3日で人間が変わる。ふるさとに帰れば優しい農民を獣以下に変えちゃう」と語っています。

戦地では日本兵が敵国の女性に乱暴するところも目撃していますし、略奪や虐殺行為も見ています。

そんな悲惨な体験から戦争廃絶を信念に今も活躍されているんです。

このインタビューだけも読む価値はあると思います。

書店などで見かけたらぜひ立ち読みしてください。

あ、買ってくれてもいいですけど…。

 

さて、大まかに2冊の本の感想を書きましたが、あたしが一番書きたかったことは仕事中もいつも遊ぶことしか頭にないと思っていた職場の若者が、社会問題をきちんと考えているんだなっと思わせてくれたこと。

最近の若いもんはっていっつも陰で悪口言ってたけど、悔い改めます。

しっかり考えてるんだね。

しかも、はにかみながらこれ読んだことありますか?って昼休みにわざわざ持ってきてくれて。

うれしかったよ。トイレで泣いたよ。年を取ると涙腺と尿道が緩むんだよ。

上と下から感激したんだよ。

ありがとちゃん。

今度はあたしが難しい哲学書を貸してあげるね。

めんどくさいから読んでないけど。

ニャハハ。

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