我流デザイン論
なんだか仕事が立て込んでるんです。
忙しいって言葉が好きじゃないもんですから、あまり使いたかぁないんですが、不思議の国のアリスに出てくるウサギよろしく「たいへんだ、遅れる遅れる」なんて懐中時計を見ながらあっちへフラフラこっちにブラブラってな具合です。
そんなわけで勤務時間中恒例のブログ更新が、やりづらくなっております。
しょっちゅう営業担当から
「できたか」「まだか」「アホか」
などとパソコンに向かっているあたしの後ろから催促されます。
集中しているときって、気がつかないですよね。人の気配に。
いきなり声をかけられて、そのたびにビクッとしちゃいます。
あたしがゴルゴ13なら
「俺の後ろに立つんじゃない。俺は本能的に後ろに立つ者を排除する」
「はぁ、何言ってんの、さっさと作れや」
「うるさい! お前の仕事は当分黙っていることだ」
なんて一発かますところです。が…。
小心者のジッコ50代にはそんな度胸はありません。
デザインっちゅうもんは、それなりに難しいんです。それなりに、ね。
あたしのようなレベルになると、クライアントの度肝を抜くような傑作が次から次へと出てくる、 …ようになればいいなと、日々思っているんですよ。ホント…。
しかしまぁ、なんですなぁ、一口にデザインと言いましても、あたしのようにポスターや冊子、名刺などの印刷専門業からパーツも含めた製品、空間、はては人生に至るまで様々あるわけですが、とどのつまり、デザインとは一体なんなんでしょうね。
かのスティーブ・ジョブス氏は
「デザインとは、単にどのように見えるか、どのように感じるかということではない。
どう機能するかだ。」
とおっしゃられました。
どう機能するか、と言われましても、ねぇ…。
あまり崇高に考えすぎても、元々が足りない頭ですから、すぐに眠くなっちゃいます。
そもそもデザインを専門に学んだこともなく、会社の人事異動のどさくさに紛れて、まんまと忍び込んだような人間ですから、高が知れてます。
でもね、嫌いじゃないですよ。
デザインする仕事。
どちらかと言えば好きなんです。
ただ、とても残念なことですが「好き」と「上手い」は比例するわけではありません。現実には。
「好きこそものの上手なれ」なんてぇことわざにありますが、あたしにとってはまったく迷惑なだけです。
好きなだけで上達できるんならこんなに楽なことはないわけです。
毎日毎日朝から晩まで、例えろくに寝なくたって苦にはならないですよね、好きなことするのって。
理屈の上ではそれだけやれば、なんだって上達するっていう意味で、このことわざができたんでしょうけど。
でも、現実は甘かぁないんです。
どちらかというと塩っ辛いんです。
そんでもって傷口にぐいぐい塗り込まれるんです。
その塩っ辛いものを。
自信作もたいして見てもらえずに、ポイってされるんです。
悔しくて情けなくて恥ずかしくて切なくて…、これの繰り返しなんですよ。
負の無限ループってやつですな。
ホントしんど。
そりゃあ、あたしだって、けっこう真面目に勉強しましたよ。
新聞雑誌チラシパンフポスターフライヤーテレビ映画ビデオに至るまで活字が出てくれば決して逃さず鋭くチェック。
これは未だに欠かせません。
何か真新しい切り口があるんじゃないかって、気になっちゃうんです。
きっと病気です。
例えばテレビの番組タイトルやコーナーのタイトルなどなど、活字であれ映像であれ、まずはデザイン的なものに注目しちゃいます。
やっぱり病気です。
で、参考にできそうなものがあると、記憶します。
あたしの脳ミソの95%は、そういったデザイン要素の画像がごちゃごちゃに入ってます。
きちんと整理されてはいません。
だから当然取り出すのに苦労しますし時間もかかります。
ようやく取り出すことに成功したとしても、今度はその形を再現する技量が足りないことに気がつきます。
「どうやってこんなの作るんだい」
若いのに聞いても分からない、おうちを聞いても分からない、名前を聞いても分からない、ワンワンワワンワンワンワワン。
犬のおまわりさんか! 一人で突っ込んでみました。
以前はね、スクラップブックに保存してました。
仕事に慣れて、あぐらをかいて、さぼるコツを覚えた、ちょいワル親父になってからは、やめちゃいました。
また始めようとは思うのですが、太り気味のおっちゃんは腰が重くて。
あたしにとってのデザインとは、ズバリ「見た目」です。
紙面全体を構成するレイアウトが命です。
ロゴの場合はちょっと違いますが、滅多にそのような仕事はありませんので除外します。
仕事が立て込んでくると毎度のように思います。
「い〜と〜まきまき、い〜と〜まきまき、ひいてひいて、トントントン」
を頭の中でこの歌を歌いながら。
「小人でもネズミでもネコでもイヌでもヨメでもいいから、あたしが寝ている間に傑作を作って置いといてくれ!」
むなしい空気が漂ってます。
あっ、そっ。
どうせ残業代なんかつかないんだし、家に帰ってからゆっくりやるべや。
はぁ、今日も寝ないで仕事だにゃぁ…。