kunbeのあれこれ雑記帳

日々の暮らしの中で感じたこと思ったことを、わかりやすく、おもしろく、それなりに伝えようと思います。

リベンジは室蘭港で

5月5日は早朝から暴風です。

「俺が何したってのさっ」

青い空に向かって叫んでみても、どうにもなりません。

それでも職場の我ら釣り部は今季一番の大物を夢見て、

それぞれのポイントにご出勤です。

「休みの日にゆっくり寝てたことないんじゃない」

ヨメは半ばあきれ顔。

それでも男は戦場に向かうのです。

愛する人を守るために…。

……。

うふふ。

そんなカッコのいいもんじゃありませんよね。

魚が釣りたい、欲望むき出しですから。

 

前日には近隣の釣りエサ取扱店ではイソメがほぼ売り切れ

という悲報を入手していたあたしは、

港はどこも大混雑していて

「ひょっとしたら入れないかもしれない」

という不安に駆られながら、

何とか風を背中に受けられる場所を目指して、

今回は苫小牧港西港の勇払埠頭に行きました。

大型船が1隻係留しているすぐ脇に、ちょうど一人分のスペースが空いてました。f:id:kunbe:20150507150305j:plain

入れただけでもラッキーなのですが、

欲深い釣り人は

「せっかく入れたんだから、なんとしてもクロガシラを釣ってやる」

と急激に目は血走り殺気ムンムン。欲望の塊になってしまいます。

激しい風を背中に受けて第一投。

「おおおおー、よく飛ぶぜよ!」

「⁉︎」

リールに巻いたラインが全部飛んでっちゃいました。

「うぎゃぁぁぁっ!」

絶叫むなしく港の藻くずと化した手製の仕掛けちゃん。

うっかりしてました。

前回の釣行で、道糸が短くなっていたことをすっかり忘れてました。

しょぼくれじじいは、2本目の竿をちょい投げして、深々と溜め息。

「はぁ〜…。俺、いくつになったら、うっかりが治るんだろう」

反省仕切です。

「反省したって治らないものは治らないべや」

あっという間に開き直っちゃっいました。

気を取り直し、予備に持参していたナイロンラインをリールに巻いて、

再びちょい投げ。

予備の糸も予想より短く、遠投は不可でした。

あぁあ…。

それにしても風が強いです。

周りの釣り人も強風対策に苦戦しています。

竿立てが倒れ、エサが飛び散り、悲鳴や怒号が響きます。

ある釣り人は、持ってきたエサをパックごと港に飛ばされ、

呆然としていました。

可哀想。

南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏…。

 

こんな状況でも、誰か一人でも釣れてくれれば、釣り場も活気づくんですが、

お魚ちゃんも強風で避難したのか、食事をする気配がありません。

「ぜんぜん釣れんがな」

しびれを切らしてエサを替えようと巻き上げると

「!」

引っかかってます。

ちょい投げの20メートル付近に何かが沈んでいるらしく、

あたし以外の釣り人も引っかかる人が続出です。

「なんじゃこりゃぁ!」

太陽に吠えろの松田優作よろしく雄叫びをあげても、仕掛けは戻ってはきません。

「ったまきた!やめてやる」

泣きっ面に蜂。

2回の釣行で深手を負い、手負いの熊同然のあたしは

「今日はこのくらいで勘弁してやる」

と捨て台詞を残し我が家へ逃げ帰ったのでした。

 

ホント頭にくるわっ!

 

さて、のど元過ぎて熱さを忘れたあたしは、

連休最後となった翌6日、

前日に新たに買い足した道具で準備を整え、いざ出陣。

残念ながら、この日も強風でした。

神様ってホント残酷。

心から楽しめる祝日を1日くらい用意しろってんだよ!ったく。

憤慨しながら本日は、苫小牧港東港の通称作業船溜まりに釣り座を構えました。

ここは水深が浅く、大物クロガシラを狙うには

あまりいい選択とはいえませんでした。

案の定、竿は風にふるえるだけでアタリはありません。

「毎日、朝こっぱやく起きて何やってんだ俺」

だんだん腹が立ってきます。

ちょうど東港脇の海岸に入釣していた

釣り仲間の通称ガマ親分と連絡がとれ、

二人で室蘭港西埠頭を目指すことになりました。

 

室蘭港は入り江を利用した港で、

大型クロガシラ釣りのメッカ及び聖地です。

 

投げ釣り師はたいていこの港で洗礼を受けます。

一日粘ってヒトデを掃除。

さらに粘っても何にも釣れないなんてのは当たり前。

3度目の正直は幻、三顧の礼ならぬ10顧の礼をもってしても、まだ無駄足。

それを覚悟した上でも、足を運ぶことを諦めないものだけが、

時折報われることがあるというくらいシビアな釣り場です。

中には行くたびに釣れちゃうっていう

人生ツキだらけみたいな人もいるようですが、

あたしの周りにはそんな人はいません。

もしもいたら、きっと口も利かないでしょうけど…。

 

西2号埠頭に着いたのは午前10時を少し過ぎた頃。

本来なら釣れる時間ではありません。

潮回りも悪くちょうどド干潮の潮止まりでした。

でも奇跡的に無風。選挙なら当選です。

この幸運を逃すものかと、あたしたち2人は

先を争って釣りを始めました。

あたしは長年通って学習していたので、

恥も外聞もあるものかと遠投魂をあっさり悪魔に売り渡し、

必殺じじぃの20メートルちょい投げです。

ガマ親分は長年通っていても学習せず、

意地とプライドで遠投勝負です。

「無風だとこんなに温かいんですね」とあたし。

「お前、ずいぶんちょい投げしたな。意地はないのか」とガマ親分。

あたしの日和見を見下していました。

そんなときゴンゴンゴン⁉︎

あたしの竿に待望のアタリ。

竿が強烈に揺れます。

「げげげげっ!まじかぁ!」

ガマ親分の悔しそうな顔。

いやぁ、みなさんにもお見せしたかったなぁ…。

めちゃめちゃ久しぶりのアタリですから、あたしの方も緊張気味です。

「丁寧に丁寧に」

言い聞かせながらいつにもまして慎重に巻き上げます。

ググッと刺さり込むような感触は忘れもしないクロガシラなどカレイ類の特徴です。

「ここで合ったが百年目、盲亀の浮木優曇華の華」

てな具合で、まるで仇にでもあったような気分。

高鳴る胸早まる脈。

ドキドキドンドン、頭の中はお祭り騒ぎです。

水面に浮いてきたのはまぎれもなくクロガシラ。

「うっしゃーっ!」

「タモ入れてやるよ」

冷静なガマ親分の声に

「あざ〜っす!」

と答えながらきっと必死の形相だったと思います。

ホントに真剣でした。

アドレナリンが体中から噴き出してます。

 

上がってきたのは

まるまる太ったクロガシラ42センチ。

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「やった〜いっ!」

流血が痛々しいですが、写真撮影も無事に終え

あたしはしばし釣果に酔いしれてます。

隣では「クッソーっ!」と雄叫びをあげ、

ガマ親分が20メートルのちょい投げです。

「背に腹は代えられん」

遠投魂を港に捨てちゃいました…。

 

しかしこの後、気紛れな釣りの女神は二度とほほえむことなく、

しかも強風を引き連れ港を嵐のように駆け回るのでした。

結局2匹目のドジョウならぬクロガシラは釣れず、

あたしの仕留めた1匹のみで、

今回のゴールデンウイークは幕を下ろしたのです。

ガマ親分、残念でしたね。

うふふふふ。

 

帰宅後カミサンに煮付けにしてもらい

早速、夕食でいただいちゃいました。

ホクホクの身が旨かったどぇ〜っす!

終わり良ければすべて良し。

実感した次第でございます。

 

読んでいただいた皆様、

今回も長文にお付き合い頂きありがとうございます。