kunbeのあれこれ雑記帳

日々の暮らしの中で感じたこと思ったことを、わかりやすく、おもしろく、それなりに伝えようと思います。

雪降りやまず…

太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。

次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

 

ご存知、三好達治さんの名詩、「雪」でやんす。

 

あたしのイメージでは、俯瞰(ふかん)の構図。

 

雪深い農村の一軒家、茅葺きの屋根。

とっぷりと日が暮れて、幼い兄弟が一つの布団で眠りに就く。

窓から漏れる明かりの他には何も見えず、

辺りは静寂に包まれて、物音一つしない。

ただただ雪が降り続ける………。

太郎と次郎を眠らせたお母さんは、お父さんに

「やっと寝ましたよ」

「そうか。可愛い寝顔だな」

「そうですね。天使のようです」

「お前の寝顔も可愛いぞ」

「いやですよ、あなたったら」

「どうだ、もう一人子作りしよう」

「あっ、ああ〜っ、だめぇっ…」

 

なんて、幸せな光景が目に浮かびます。

たった2行で膨らむイメージ。

詩の素晴しさですね。

 

あたし、けっこう詩が好きなんです。

好きっていっても、有名なものしか知りませんが…。

 

吉野弘さんの「夕焼け」も好きですね。

いつものことだが
電車は満員だった。
そして
いつものことだが
若者と娘が腰をおろし
としよりが立っていた。
うつむいていた娘が立って
としよりに席をゆずった。
そそくさととしよりがすわった。
礼も言わずにとしよりは次の駅で降りた。
娘はすわった。
別のとしよりが娘の前に
横あいから押されてきた。
娘はうつむいた。
しかし
また立って
席を
そのとしよりにゆずった。
としよりは次の駅で礼を言って降りた。
娘はすわった。
二度あることは と言うとおり
別のとしよりが娘の前に
押し出された。
かわいそうに
娘はうつむいて
そして今度は席を立たなかった。
次の駅も
次の駅も
下唇をキュッとかんで
からだをこわばらせて――。
ぼくは電車を降りた。
固くなってうつむいて
娘はどこまで行ったろう。
やさしい心の持ち主は
いつでもどこでも
われにもあらず受難者となる。
なぜって
やさしい心の持ち主は
他人のつらさを自分のつらさのように
感じるから。
やさしい心に責められながら
娘はどこまでゆけるだろう。
下唇をかんで
つらい気持ちで
美しい夕焼けも見ないで。

 全文引用しちゃいました。

吉野 弘

主人公の「娘」さんに対する思いやりが心にしみてきます。

 

 

昨年、仕事で電車の乗車マナー啓発のポスター依頼がありました。

その時につくった、あたしの散文です。

 

4人掛けの座席を独占して

友達同士の楽しい時間。

混み合ってきた車内では

仕事帰りのおじさんが

空いている席を探しています。

あなたは勇気を出してf:id:kunbe:20151124153534g:plain

急いで手荷物を網棚に載せ

「よろしかったら、どうぞ」

声をかけてあげました。

 

あなたのお友達は驚いて見ています。

ちょっぴり恥ずかしいですね。

 

「すみません。ありがとう」

おじさんがうれしそうに言いました。

あなたはほっとして、うれしくなりました。

 

あなたのお友達も

そんな『あなた』にうれしくなりました。

 

悪い出来ではないと思いますが、あえなくボツ。

あたしはうれしくなれませんでした。

でも安心してください。

あたしの違う作品に決まっちゃいました。ぎゃははは。

 

今日のあたしはヒマなのね。

調子こいて2本目のしょーもない内容をアップします。

懲りずに読んでくださった方、心から感謝申し上げます。