ひまつぶし日記 1 男の看護現場
すっかり雪景色になった窓下の電車通り。
早朝は行き交う車も少なく
巨大な防音窓で遮られ下界の音は一切聞こえない
理想的な看護環境……。
毎朝6時に起こされます。曜日も祝祭日も一切関係なし。
わっかい看護師さんのかわいい声。
おはようございま~す♡と各部屋を巡回して、
一人一人のベッドサイドで、
目を開けるまで名前を呼び続け、
強制的に目覚めさせていきます。
もうちょっと寝ていたいにゃぁ。
と思っても
看護師さんが女の子だから
許せちゃいます。
うふふ。
悲しいかな、
この病棟には男の看護師もいます。
しかも半分近く。
そしてわっかい。あ~んど、むだに元気。ときてます。
よせばいいのに………。
こいつらも朝起こしにきます。
「おはぁっす」
野太い声。
ああ、気分悪りぃ…。
なんてゆううつな一日の始まりでしょう。
今日一日だめだこりゃ。
のっけから、すっかり投げやり気分です。
いいよ。さわやかに笑わなくても。
愛想笑いは、いらないから。
はいはい、ゆっくり眠れましたよ。
ありがとありがと。あなたのおかげ。ね。ね。ね。
はいはい、ありがと。
あたしになんかつきまとわないで、
さっさと次の人んとこ行っとくれ。
なに、血圧?
テキトーでいいよ。
えっ、熱?
だからテキトーでいいって!
トイレの回数?
好きなように書いとけよ! うっせーな!
心の中でぶちぎれてます。
悪気はないんですよ。悪気は。
ただ、
世の中の男性の大多数は、わっかい女の子が大好きです。
中でも看護師さんは人気の職業。
コスプレさせたい衣装ベスト3に常に入っています。たぶん。
おバカな男は白衣の天使にメロメロなんです。
ただし女性の。
男性患者は看護師さんに癒されたいんです。
「とある飲み屋でのバーテンと客の医者の会話だよ」
「なんですか」
「客の医者が言うには患者と肉体関係を持っちゃったって」
「あらら」
「バーテンはよくあることじゃないですかって慰めたんだけど…」
「なぐさめたんだけど…?」
「客は獣医だったって! ぎゃははぁ~」
「うわぁっ!」
こんなくっだらない冗談でも笑ってもらいたいんです。
「バカなことばかり言って笑わせないでください」
なんて言われたいんです。
これを男性看護師とすると
「とある飲み屋でのバーテンと男性看護師の会話だよ」
「はいはい」
「男性看護師は患者さんと肉体関係を持っちゃったって」
「ほうほう」
「患者さんは男性だって!」
「はぁ、普通っすね」
どうします。こんな世界。
同性愛を否定するつもりも
雇用機会均等法を責めるつもりもありません。
癒しの観点から考えると、
ほほえみ一つで男を有頂天にする力は
女性にしかないのではないかと…。
治癒力も圧倒的に女性の方が上ではないかと…。
男性にはできない世界があるんじゃないかと…。
書いていて思いました。
あたしの話、説得力ゼロ。
男性版白衣の天使…。
当たり前の時代なのでしょうか。
あたしは女性限定でお願いしたいと
切望する一人でございます。