kunbeのあれこれ雑記帳

日々の暮らしの中で感じたこと思ったことを、わかりやすく、おもしろく、それなりに伝えようと思います。

天つ風 雲の通い路 吹き閉じよ

夕闇が色濃くなっていました。

最近再び吸い始めたタバコを、自宅2階のベランダで一服していたときのことです。

カミさんがいろいろとうるさいので、しぶしぶのホタル族です。

 

ふと裏手にあるアパートを見ると、丁度真正面の2階の窓から

明かりがこぼれていることに気がつきました。

何気にそちらを見ると、カーテンを閉めていない部屋には女性の姿

宵闇に浮き上がるように鮮やかに映し出されました。

 

急激にドキドキ。

緊張が高まります。

「見てるのがバレたらまずい!」

妙な罪悪感から、とっさにしゃがみ込んで

ベランダの柵の隙間からの監視態勢に入りました。

 

よく考えると、こちらが暗くて向こうが明るいわけですから、

向こうからは見えないはずなのにね。

しかも、ベランダから見ているだけだから、悪いことしているわけじゃないのに…。

でも、やっぱ、なんか悪いことしてるっていう気になっちゃう。

 

ずっと空き部屋だったはず。

「今日引っ越してきたのかな」

顔がはっきり見える距離ではありませんが、

一瞬で20代後半中肉水商売、と見抜きました。

こういうときの眼力ってすごいのね。エッヘン!

 

白いTシャツ姿の彼女はどうやら一人のようでした。

あらかた引っ越し荷物の整理も終わり、ホッとしているようにも見えました。

手伝いにきていた人たちも帰って、一人の時間を楽しんでいるようでした。

 

「ムフフ。久しぶりに若いオナゴじゃ。ムフフ。ムフフ。もひとつおまけにムフフフ」

あたしは、必殺スーパーエロじじいに変身です。

変身したところでなにもできないけどさ…。

 

突如彼女が立ち上がりました。

そしておもむろに履いていたスエットのようなものを脱いじゃったんです。

 

エロじじいはドギモを抜かれました。

腰を抜かしました。

心臓はどっかへ行っちゃいました。

「パ、パ、パンツっ!!!!」

純白のパンツが窓辺に揺れています。

肉付きのいいかわいらしいお尻と一緒に。

どこかへ行っていたはずの心臓が戻ってきて

バクバクバクバク激しく高鳴ります。

 

「気がつきませんように気がつきませんように」

祈る思いで、なおさら姿勢を低くしました。

すっかりとっ散らかった精神状態のあたしを尻目に、

彼女はTシャツも脱ぎブラジャーとパンツだけの姿になって

窓辺の部屋からいなくなってしまいました。

シャワーでも浴びに浴室に行ったんでしょうか。

 

「はぁ…。行っちまったぁ…」

あたしは携帯灰皿にタバコを消して深いため息。

夕闇が一段と濃くなっていました。

 

 天津風 雲の通ひ路吹き閉ぢよ

            乙女の姿 しばしとどめむ

   (あまつかぜ くものかよいじふきとじよ おとめのすがた しばしとどめん)

           僧正遍昭(そうじょうへんじょう=816〜890:六歌仙の一人)

 

遍昭さん、あなたの気持ちが痛いほどわかりました。

百人一首にも選ばれている六歌仙のあなたの和歌を

こんなデバガメのエロじじいの悪行と並列するなんておこがましいですが、

でも、きっとあなたもこんな気持ちだったんですよね。

あたしが見たのは、もちろん天女ではありません。

でも、あなたも天女ではなく「五節の舞姫」を見てこの歌を詠んだんですよね。

あたしが見たのはたった一人。あなたが見たのは4、5人。

人数では負けました。

でも、あなたが見たのは美しい着物姿のうら若き女性たちでしょ。

あたしが見たのはたった一人だけど純白のパンティーと純白のブラジャー姿

どう? 遍昭さん。あたしが見たものの方がすごいでしょ。

うふふ。うらやましいでしょ。

あたしの勝ち! ね!

 

「何本吸ってるの!」

カミさんがツノを出してベランダに乗り込んできました。

「い、今、行くところだったん…」

「さっさとおフロに入りなさい!」

「はい」

 

せっかくの神様の突然のプレゼントの余韻を

カミさんのおっかない顔があっさりかき消しました。

 

はぁぁ…。

 

天津風 とっとと妻を 連れて行け 鬼嫁の姿 しばし忘れさせろ(なまら字余り)

 

遍昭さん、あなたもこんなふうに思ったことある?

いつの時代も奥方様は強いですよね。

小野小町と浮き名を流してた頃は、独身だったのかな?

 

ところでデバガメの意味ってみなさんご存知でした?

本来は「デバカメ」っていって、

女湯の覗き常習者だった池田亀太郎からきているそうです。

詳しくはこちらを見てね。

gogen-allguide.comくっだらないことばかり書いてるから、少しは役立つこともしないとね。

 

さて、あたしのベランダへの通い路は吹き閉じられることなく続いています。

でも、あの日以来、アパートの部屋に明かりが点いていることはありません。

あたしが帰ってくる頃にはお仕事に出かけていて、

あたしが眠った後に部屋に帰ってくる生活なんだろうな。

やっぱり水商売なんだな。

確信は深まったんですが、

姿が見られないのは寂しく思っちゃいます。

 

衝撃的な純白パンティ姿、もう見ることはないのでしょうか。

「ないよなぁ」と思いながらもあたしのベランダ通いは続いちゃいます。

エロじじいは簡単に治らないのね。

困ったもんだわ。

 

長々と書き散らかしてしまいました。

読んでいただいた方には心よりお礼申し上げます。

読んでくれなかった方にも形だけお礼申し上げます。

では、おやすみなさいませ。

土曜日も「仕事」…おまけに通常業務…。こんな仕事を後悔する日

お疲れさまです。みんなも働いてるんでしょ。

まさか

休んでる人なんかいないよね。

いないよねいないよねいないよね!

 

すんましぇん。

週休2日制の企業で働いていらっしゃる方がうらやましくて仕方がなくて…。

 

だいたい今はさ、土曜日なんて一般企業はみんなお休みだよ。

営業さんだって廻る事業所がなくて困ってるんですよ。

やってるところはサービス業ばかりでしょ。

そんなところへ行っても仕事がもらえるわけないこと知ってるくせに。

おエライさんは意地悪だね。

「わしが若い頃は土日も働いたんじゃ。休むなんてとんでもない!」

そんなクソジジイどもがのさばっております。あたしの勤め先は。

早く死んでくれないかなぁ…。

 

のろいをかけたはずなんだけど、さっぱり効果なし。

まったく力のないあたしです。

 

あ〜あ、ホントしんどい。

いい年こいて週6日、朝から晩まで働き詰めなんて体に悪いわ。

おまけにパソコンとニラメッコだから、目、肩、首、背中が常にパンパン。

どうしてこんなお仕事に就いちゃったのかなぁ…。

やたらと後悔しちゃいます。

しかも今日は、〝なまら〟いい天気。

午後からは、窓の外の景色ばかりボーっとながめてます。

べつにヒマではないんですよ。

急ぎの仕事ではないものが多々あるだけ…。

 

だから、

今やらなくてもいいなぁ…。

お尻に火が点いてからでも何となるよなぁ…。

寝ないでやればどうにかなるべや…。

 

なんて、一番力が入らないパターンです。

 

はああぁ、や〜めたっと。

仕事なんかしてやんない。

 

とうとう放棄しちゃいました。

いいのいいの。エライ人にばれなきゃ大丈夫だから。へへへ。

 

そういえば、ついにファミリーマートが北海道で店舗展開するんで

開業希望者を募集しているとか。

 

思い切って転職しちゃおうかな。

コンビニって儲かるのかなぁ…。

どのくらい軍資金がいるんだろう。

 

考えるまでもないや。

あたしは資金ゼロ。

下手すりゃマイナスなんだから…。

 

今週はパチンコ強化週間と位置づけて、

月曜日から勤務終了後に鼻息荒く通いました。

少し前に書いた「ギアラボ」の釣り用品が買いたいなと思って。

結果、水曜日で打ち止め。

あえなく3連敗です。

なけなしの小遣い使い切っちゃいました。

トホホホ。破産です。

 

パチプロで食っていこう。

若い頃は思ったもんです。

なんだかんだ勝っていましたし。

 

年をとるとダメですね。

 

 

 

50代の男でもできる土日が休める仕事ってないかな。

年収1,000万円以上で。

 

あらっ、

仕事サボってこんなと書いていたら、

もうすぐ終業時間じゃん。

イヒヒ。

あしたは釣りに行けるかなぁ…。

 

どうでもいい内容のままブログに載せちゃうもんね。

怒らないでね。

次回はおもしろいこと書くように心がけます。

ホント申し訳ございません。

コンビニのクジの当て方教えます

何かとよく利用するお店がコンビニエンスストアって方も多いと思います。

たいてい24時間開いているし、商品の種類も豊富でありがたいものです。

あたくしどもの地元には「セイコーマート」なんていう

北海道資本のコンビニがございまして、

「ホットシェフ」という店内調理の弁当類が大変な人気でございます。

価格も他のコンビニに比べてお安いように思いますが、

24時間営業している店舗ばかりではないのが玉にキズ。

夜中に小腹空かせて車走らせても、シャッターが下りていることもよくあるんです。

すべてが24時間営業になればいいな、と思っておりますが…

何かきっと事情があるんでしょうね。

 

さてさて、本題。

 

ファミリーマートは当地には存在しておりませんので、まったくわかりませんが、

セブンイレブン、ローソン、サンクスでは、ときおり幾ばくかの買い物をすると

レジでクジを引かせてくれることがありますよね。

 

あたし、このクジにめっぽう強いんです。

まぁ、当たってもファミリーボトルサイズのガムとか、

缶コーヒーや缶入りの清涼飲料水程度ですけど。

 

でも、当たるとなんかうれしいじゃないですか。

「得した」って気分になれるじゃないですか。

少なくとも損したとは思わないでしょ?

 

あまりにも当てるものですから、ある店舗では出入り禁止になっちゃった……

なんてことはございませんが、ホントによく当たります。

そうですね、勝率はたぶん9割以上。

 

みなさんもそうだったら、今回の話はなかったことにしちゃいますが、

カミさんに聞いても、職場で聞いても、それほど当たりを引いていないようなので、

ここはひとつ、このブログを読んでくださったみなさんに

喜んでいただきたいと思いまして、

発表しちゃおうと決意した次第でございます。

あたし、いちいち大袈裟です。そういう人だとあきらめてね。

あたしはあきらめてますよ。もうだいぶん前から。

 

当てるコツはね、いたって簡単なんです。

 

クジ箱に手を入れたら

  一番上のカードをつかんで取り出す。

 

たったこれだけ。これで勝率9割以上間違いなしです。

あたしにしては珍しく自信があります。

一番上といっても何枚もありますから、そこはカンと運になっちゃいますが…。

もう一つ心配なのは、地域によって違いがあるかもしれないってことです。

ひょっとしたら一番底の方に当たりが多く入っている地域があるかもしれません。

 

そのときは許してね……。

 

コンビニクジ当選確率の地域間格差を知るのも面白いかも。

みなさん、早速実践してみましょう。

だまされたって思いますから。

 

うふふ。

 

ウソばっかり?書いてるけど、今回は……。

 

 

ホントのホントだよ。

サイフを落としたっていうお話

世間が春の陽気に浮かれていた5月某日、

夫婦仲良くほぼ1年ぶりにユニクロに出かけました。

この地域に1店舗しかないこともあって、店内はたいへんに混み合っていました。

 

「やっぱり高くなってるわねぇ」とカミさん。

「おっ、そうかい。俺も10センチくらい高くなったような気がしてたんだ」

「10センチ?」

「じゃ5センチか」

「バカ。その年で身長が伸びるわけないじゃない」

「うへぇっ、気のせいかい? 伸びたと思ったんだけどなぁ…」

「バカ…。伸びたんじゃなくて、上がった話」

「上がったぁ? なんだ天ぷらか? それともお前の××か?」

「バカっ! 服の値段よ!」

「あはは。ああ、服の値段ね」

「もう。ホントめんどくさ…。値上げで売り上げは下がった割に、すごい人ね」

「俺も音ぇ上げるぞ。とくに人混みは大嫌いだ。もう帰る」

「その音上げじゃないわよ。音じゃなくて値段の値。少しはガマンなさい」

「ガマンなんて、生まれるときにオフクロの腹ん中に忘れてき…」

うるさいっ!!

 

カミさんに叱られながら、しぶしぶ店内をうろつきます。

すれ違いざまに肩がぶつかるほどの混雑です。

カミさんがが言うように、商品は少し値上がりしているようでした。

 

あたしが買おうと思っていたズボンは一本税込み5000円程度が中心。

安いものでも税込3000円程度でした。やはり昨年よりお高くなっていました。

おいっ! ユニクロっ! ちょっと売れたからっていい気になりやがって。

お高く止まってんじゃねぇ! お前ら貧乏人の味方として食ってきたんだろうが!

それをなんだい、急に値上げなんかして。高級ブランドにでもなろうってぇのか!

庶民をなめるんじゃねぇっ! 100年早いわっ!

などと心の中でさんざんののしってますが、あたしの心の声が届くはずもなく、

お客さんは次々と訪れ、続々と商品を購入しています。

そういえば最近はズボンて言い方をしなくなりましたね。

みんな口をそろえて「パンツ」って言います。

どうも違和感があって、あたしは未だにズボンと言っております。

どうでもいい話ですが。

 

わっかい娘さんが

「見て見て! このパンツかわいい♡」

なんて黄色い声で言っているのを耳にしちゃうと、

ついつい下着姿を連想していけません。

時代遅れのヘンタイおやじです。

ジーパンは許容範囲ですが

「パンツ」はやっぱり下着であってほしいと思う今日この頃。

みなさんいかがお過ごしですかぁ? っと脱線寸前で軌道修正ね。

 

「これで売上が落ちてるのかぁ?」

「そんなふうに見えないわね」

「日本はお金持ちが多いんだなぁ…」

「お孫さんに買ってあげているっぽい人が多いようね」

「死んだばあちゃん出てきてくれぇ。安いのでいいから1本買っ」

「もう! だまって見なさいっ!」

「あはは。お盆にはまだ早いか」

 

人混みをかき分けかき分け、

どうにか好みにあったカミさんのジーンズ3着とあたしのジーパンとチノを選び、

裾上げも無事終了して仕上がりを待つことに。

なんせすごい人出でしたから、あたしは一刻も早く外へ出たかったんですが、

カミさんが上に着るものも買いたいと言いだす始末。

……。

ったく…。女ってのはどうしてこうなんでしょう。

混み合っていると闘志が沸くんですか?

なんせ買い物が好きな生き物のように思えてなりません。

わかったわかった。それじゃこうしよう。このお店丸ごと一軒買っちゃうってことで

 ご勘弁を

何度言ったかわかりゃしません。

おかげで、あたしはスパーマーケットを3軒、ショッピングモールを1軒

所有しています。

ぎゃはは。…。

すんましぇん。つかなくていいウソをついちゃいました。

 

それに比べると男ってのは、これがほしいと思ってから行きますから、

目的のものに一直線。

買ったが最後、ほかのものには目もくれずさっさと出てしまいます。

早いときなら入店から出店まで1分を切るなんてこともざらです。

本来はもう少しゆっくりしていってもいいんでしょうけど、

店員さんに「何かお探しですか?」なんてやられるともういけません。

「い、いえ、べ、べつに、#”%$&@∧?||*……」

あとの方はなにを言っているのか、自分でもわからないことを言って、

逃げるように出てしまいます。

 

どうしてなんでしょうね。お客サマなのに。

もっとイバッタっていいはずなのにね。

 

とくに高級感があるところがいけません。

入る前からド緊張。

店員さんに話しかけられでもしたら、心肺停止のおそれありってヤツです。

気が弱い生き物なのね。

ね、男性諸君!

……。

ええーっ!、あたしだけなのぉ!?……。

 

そんなこんなでカミさんの買い物も終わり、ようやくユニクロを後にしたんです。

ふぅぅぅっ、疲れた。

車に戻ってエンジンをかけたときに気がつきました。

 

 「あれっ? ないよ。ないない」

「なしたの(方言=どうしたの)?」

「いや、あれがないんだ」

「アレってなによ」

「あれはあれだろ…。だから…。あの、あれだ」

「なんなのよ。わかるように言ってよ」

「だからさ、ほら、こう、いろいろと入れるじゃねえか」

「ふくろ?」

「ふくろじゃなくてさ、こう、入れるもんがあんだろ」

「ふろしき?」

「それは包むものでしょ。だいたい、今どきふろしきなんて使うかよ」

「じゃあ、ポスト」

「な、なんでポストなんだよ。ポストがないないって言うヤツいるかい?」

「だって入れるものだって言うから…。じゃあ…、カバン?」

「ううっ、近いよ近い。けど、もっとちっこいもんだ」

「もしかしてサイフ?」

「ちが… ってない…。そうそうそれそれ。サイフだサイフ」

「ええ〜っ! 落としたのっ?」

「えへへ。そうみたい」

「バカ! そうみたいじゃないでしょ! へらへら笑って!」

「うへぇ、どうしよう」

「どうしようって言ってる場合じゃないわよ。急いで探してらっしゃい!」

「どこを?」

「今日はユニクロにしかきてないんだから、絶対お店の中で落としたのよ」

 

何度言ってもズボンのお尻のポケットに入れて歩くから、すぐ失くすのよ!

今度から首にかけて歩きなさい!

 

カミさんは怒り心頭。

失くしたのはあたしのサイフなのにさ。

あまりの剣幕にうろたえながらも、あたしの頭の中はある和歌が響いていました。

 

世の中は 夢かうつつか

     うつつとも 夢とも知らず ありてなければ

 

古今和歌集の雑歌にあるこの世の無情を詠んだ歌として有名です。

〝世の中って夢なのか現実なのかホントのところどっちなんでしょうね。

「ある」ようで「ない」、「ない」ようで「ある」、そんなものなのですから〟

って意味でしょうか。

この作者(詠み人知らず)さんも、きっと夢であってほしいと思うことがあって

この和歌を詠んだんでしょうね。そうに決まってます。

現実が楽しくて仕方がないときにこんな歌を詠めるはずありません。

ひょっとしたら、この詠み人知らずさんも、900年ほど前にサイフを落として

ガッカリしたのかもしれません。

きっとそうよ。そうに決まってるわ。

 

で、あたしも、ああどうか夢であってほしい。

本気でそう思いました。

冷たいカミさんは、すっかりご機嫌斜め75度。

頭からツノと湯気を同時に出してにらみつけます。

仕方がないのであたし一人が再び激混みのユニクロ店内へ。

どうせ探したところで見つかりっこありません。

あたしの数多い経験からして、仮に見つかってもサイフだけ。

中味はきれいになくなっていることの方が多いんです。

今日は珍しく現金も1万数千円入っていたままだったなぁ…。

カード停止の連絡がめんどくさいなぁ…。

などと考えながら、あきらめ半分でしばらくうろうろとうろつきましたが、

いつまでさまよっていても仕方がありません。

覚悟を決めて会計レジ担当の店員さんに声をかけました。

「あのぉすみません。サイフの落とし物あったりしませんでしょうか?」

「どのようなお財布ですか」

「ええ〜と、これこれこのような」

「失礼ですがお名前を」

「Kunbeと申します」

「少々お待ちください」

そう言い残して店員さんはどこかへ消えました。

ずいぶんと待たされたようにも思います。

まさか、いまさら一生懸命探してくれているんだろうか。

そんなことを考え始めたとき、店員さんが戻ってきました。

その手の中には懐かしいあたしの長サイフ。

「お店の中に落ちてましたよってお客様が届けてくれていました。中はどうですか?」

「ありますありますお金もカードもそのまんまに」

「そうですか。よかったですね」

さわやかな笑顔で言う店員さん。抱きしめたくなりました。

 

ああ、日本人でよかった。この国に生まれてよかった。

 

ホントにそう思いました。

先ほどまでの無常観などどこへやら。あたしはすっかり有頂天です。

詠み人知らずさん、世の中、捨てたもんじゃないですよ。

拾って届けてくれる神がちゃんといるんですから。

そう思いながら車に戻ってカミさんに報告しました。

 

「喜ばんでいいっ!」

 

怒りは収まっていないようです。

詠み人知らずさん、世の中、いいことばかりじゃありませんね。

地獄のエンマ様も、ちゃんといらっしゃいました。

 

 

あたしの目の前に。

 

釣り好き必見! アイデア釣り具の宝庫「ギアラボ」はもうチェックした?

春になったのに、釣りに行けません。

何かと野暮用が多く日曜日のたびに使いっ走り。

予定がない日曜日は、狙いすましたように天気がくずれ雨、風、雪。

気象庁の嫌がらせか?

ゴールデンウイークの3連休は、カミさんの実家に帰省で釣りはNG。

しかも連日雨模様。観光もへったくれもあったもんじゃない。

ここまできたら気象庁の呪いだわ。

そうとしか思えません。

あたし、気象庁の悪口ばっかり書いてるから…。

しかたがないので日本一臭くて油ギトギトの温泉につかりながら過ごすという、

たいへん有意義な時間のつぶし方を学習させていただきました。

気象庁様、ありがとうございます。

おかげさまで脂ぎったいい男になりました…。

へぇ、十分満足しておりやす。

体を洗ってもしばらくはすごく油臭いんですけど…。

トホホ…。

気象庁様、今度の日曜日はあたしに釣りをさせてください。

お願いします。

このままじゃ巨大クロガシラがいなくなっちゃいます。

オロオロしながら毎日を過ごしているんです。

おねげぇでごぜぇやす、おでぇかんさまぁぁあ!

という具合で何かと落ち着かず仕事も手につかない

(あっこれはいつものことだった。ぎゃはは)。

 

ナイトキャップ代わりについつい「ギアラボ」

 

どうにか平常心を保つために寝る前に、よく見るサイトがあります。

釣り好きの方はご存知かもしれません。それがココ。

ギアラボ

 

ここはアイデアいっぱいで、釣り師垂涎の釣具屋さんです。

一般の釣具店においていないものばかりが、

これでもかってくらい豊富にそろえられているんです。

あたしは、春はクロガシラガレイを主に狙った投げ釣りですから、

オモリや仕掛けの一部となるテンビンなどを購入します。

その商品がちょっと変わったというか面白いというか

あたしの周りではまず見たことがないものばかり。

ヨダレだらだら垂らしてかぶりつきです。

例えばこれね。

ROCK全遊動テンビン(5本入り)

上の写真は「テンビン」のひとつ。

投げるときにはL(エル)型天秤で、巻くときには一直線。

根がかりしにくい優れた設計の逸品です。

根がかり防止オモリ「ROCK」(下の写真)用に開発されたもののようですが、

一般のオモリにも装着できるはずです。

http://rock.gear-lab.com/mechanism/seihinb.jpg

あたしは、このROCKを愛用してます。

棒オモリを太くしたように細長く、

輪切りの金属のおかげで曲がりやすく作られています。

岩場の根魚釣りに超最適です。

絶対根がかり(仕掛けや針が岩や海藻に引っかかること=「やべっ地球釣った」ともいう)しない

わけではありませんが、一般のオモリより回帰率は格段に高いです。

しかも投げ釣りでも使えるんです。

けっこう飛距離も出るんですよ。

でも、投げるときに振り切れて、バシっという音とともに

仕掛けとこいつが一緒に飛んでいったときは、とても悲しい気持ちになります。

力みすぎないように十分注意しましょうね。

こんな珍しいオモリ使っているのに

ラインを切っちゃうヘタクソはあたしだけかな…。

根がかりより、ほとんど振り切れでROCKを失っています。

トホホ…。

 

■パチンコで勝って買え! 高価な釣り具

 

30号のオモリ1個で485円(税別)です。

弾丸30号(遠投用オモリ)4〜5個分の価格とほぼ同じなのよ。

つまり4、5倍の値段。高いわぁ…。

でも、えりも方面のアブラコや日本海の岩礁での根魚狙いには効果抜群。

パチンコで大勝ちしたら即買いです。

あたしはそうしてます。

釣りするおやじでパチンコする人けっこう多いのよ。

何か共通点があるのよね。まぁ釣りもある意味ギャンブルだもんね。

 

高価なのがつらいところですが、十分に効果が期待できます。

あれ、なんか駄洒落みたいになっちゃった。

 

どうせあぶく銭。思い切ってそろえちゃいましょう。

説明されている機能は十分に発揮されるはずですから。

 

あと、あたしが気に入って使っていたのは、下の写真の「ラムダ天秤」。

ラムダ天秤のギャラリー

ラムダ天秤のギャラリー

これは車のタイヤのバランサーメーカーがつくっちゃったというテンビンです。

通常のLテンビンと違い逆V字形になっていて、

オモリとしての重心に対する考え方や重量に対する正確さは、

 絶対的な強みがある」と言い切るあたり、自信のほどがうかがえますでしょ。

そんでもってホントによく飛びました。

ここでいきなり過去形になるのは、

すべて海の藻くずと化しちゃったからです。

うえ〜ん。

気をつけて慎重に投げているつもりなんですけど、

プチっと大きな音とともにはるか彼方沖合に飛び去っちまったよ〜ん!

 

今は手元に一つもないんです。

 

また買いたいな。パチンコで勝たなくっちゃな。

でも、最近はなかなかいく機会がないな。

いっそのことパチンコ屋の方からきてくれないかな。

「ちわぁっ、出前パチンコです。今日はじゃんじゃん出しますよ!」なんて。

 

あらら、話が海にドボンしちゃったわ。

 

その前にもう少し遠投が上手にならないとね。

近くの海岸に練習に行かなくちゃ。

その帰りに寄ればいいんだよね、パチンコ屋さん。

いつかあたしが大勝ちしてお気に入りの道具をまた仕入れたら、

それを使った釣果をブログにアップするからね。

それまで首を長〜〜〜〜くして待っててね。

 

いや、そんなには待たせないわ。

まだ手元には「ROCK専用全遊動テンビン」が多数あるのよ。

もちろんROCKもあるわ。

おっしゃぁっ! これで根こそぎ釣っちゃるわいっ!

 

今度の日曜日に必ず大物釣ってくるからね。

フンっ!←気合いの鼻息。

うへへ。

たのしみだじょぉ〜!

 

 

釣りをしない方が多いとは思いましたが、

ウップンが溜まって仕方がなかったので、

勢いで書いちゃいました。

 

でも、釣りをする方がたまたま読んで、

この「ギアラボ」を初めて知ったのなら、迷わず買いなさい。

きっと投資は報われます。あたしのように。

 

それにしても、この時期に釣りに行っていないなんて、

釣りを始めてから初めてのことです。

ナニシテンダロ、アタシ…。

 

いずれにしても

釣りをしない方にはつまんない内容でゴメンナサイです。

 

あっ、そうでしたそうでした。

あたしのブログなんていっつもつまんないんだった。

あ〜安心。

………。

 

 

もう寝るわ。

かたよった内容にも関わらず、読んでくださってありがとうございます。

 

それではこのへんで おやすみちゃん。

頑張れ熊本、頑張れ九州。震災に負けない九州の通販サイトを調べてみたじぇい!

なんだか収まったようで収まらない熊本県を中心とした地震

地元で暮らす人たちは未だに不安な気持ちで過ごしているんじゃないかなぁ。

あたしはかなり昔、一度だけ出張で鹿児島市に行ったことがあります。

2月の中旬だったけど、ずいぶんと暖かかったなぁ。

北海道の2月とは大違い!(当たり前だね)。

お土産に桜島大根とザボンを買って、送ると高いからすごく重いのをガマンして

根性で持ち帰ったことを覚えています。あの頃は若かったのね。

 

でも今はネットで買えちゃう時代。

こんなときだからこそ応援したいなと思って

九州の通販サイトを調べてみました。

 九州も広いから、被害のないところもいっぱいあるけど、

そこは無視することにしたよん。めんどくさいんだもん。許してちょ。

 

 

まずは、新鮮野菜を直送する「九州ムラコレ市場」さん。

九州産『朝摘み野菜』半額【九州ムラコレ市場】

「かぶりつきたい、九州の「田舎野菜」。

うまいコピーですね。

注文を受けてから収穫するそうなので鮮度は抜群。

減農薬・無農薬野菜の種類も豊富です。

地元の道の駅に出品している生産者の野菜を直送するとか。

まさに産直です。

おいしさや健康にこだわる方にこそ味わっていただきたい。

自信と意気込みが伝わってくるHPです。

一度は食べてみたいです。カミさんと相談しよう。

 

 

続いては「かば田めんたい倶楽部」さん。

各種ご贈答に辛子めんたいはいかがですか?
かば田めんたい倶楽部でどうぞ

たしか福岡は「めんたいこ」の本場でしたよね。

あたしは北海道人ですから、タラコをよく食べます。

そのタラコがぴりっと辛くなると、

いっそうおいしくなるんですよね。

めんたいこも大好きです。

あたしはとくに「昆布漬辛子めんたい」に興味がわきました。

すっげぇうまそう! 残念なことにちょっと高いわ。

誰かあたしにお中元して!

 

 

次は料理をおいしくする出汁です。その名も「福の旨みだし」

「福の旨みだし」 

なんと高級魚「とらふぐ」の「中骨」を使用しちゃったんだって。

それは掟破りでしょう。おいしいに決まってるもん。

ティーパック8グラム×30袋入りで税込み2,160円だから、ひと袋当たり72円。

これって高いの安いの?

ちなみにヤマキの「だしの素」が216グラムで税別265円前後。

やっぱり出汁としては相当高いのね。

特別なときに使うってパターンでしょうかね。

誰かあたしにお中元してっ!

にゃはは。シツコイ性格なのね。

このサイトはレシピ以外の情報が少ないのがちと気になりました。

 

まったくの余談ですが、あたしはいい年になるまで

出汁を「でじる」と読んでました。こっぱずかしいわ!

 

 

次は青汁。「ステラの贅沢青汁」です。

 

ステラの贅沢青汁

青汁といっても粒状です。

「汁じゃねぇじゃん!」とつっこまれても「知るか!」と言い返すだけ。

そういう話は不毛です。あきらめましょう。しかたがないの。それが世の中。

粒にすることでグンと飲みやすくなったんだから、よしとしましょう。

九州地域のクロレラ、長命草、ケールを使った「粒状青汁」……。

やっぱ違和感あるよね。「粒」なのに「汁」って。

こだわらないこだわらない。そう、スルーするー。

…………。

味が濃くて苦いけど、えいやっとひと息で飲めてしまう優れものなんです。

とくにお通じがよくなることに自信がありそうです。

誰かあたしにお中元……。今回は遠慮しときます…。

 

 

さて、九州といえばお酒も有名ですね。

続いて紹介するのは九州発の酒販サイト「プレミアクラブ」。

プレミアクラブ

焼酎好きなら誰もが唸る、九州を代表する人気焼酎を

100種類近く取り揃えているんだとか。

まさしく飲ん兵衛のためのサイトです。

ここでしか出会えないお酒がきっとあります。

お値段は、あまり飲まないあたしにしてみれば高く思えます。

でも、一度くらいは名のある高価なお酒を

思いっきり味わってみたいとも思います。

九州以外のお酒も豊富です。

見ているだけでほろ酔い気分です。ういっ♪

誰かあたしにお中元おくってくりゃひゃい。うい〜っ♪

 

 

飲み過ぎて太っちゃたらダイエットでしょ。

次は完全無添加の酵素ドリンク「優光泉」です。

http://九州産野菜にこだわった完全無添加、本物の酵素ドリンク「優光泉」

地元九州の野菜を中心に厳選した60種類の原料を使用した酵素ドリンクです。

なんと、「楽天市場」で何度も総合ランキング1位になった実績もあるんだって。

実力派の健康酵素飲料なのね。

もともと地元の健康道場で行っていた断食ノウハウから開発したものらしいです。

HPには、朝か夜の食事どちらかをこの酵素ドリンクに置き換えることを薦めています。

味は2種類あります。返金保障もあるようです。試してみようかな。

いや、誰かあたしにお中元を!

えへへ。もういい? すんましぇん。

 

九州地方の企業・団体の扱う商品を買うのも、被災地支援になるんじゃないかな。

そう思って探したんですけど、今回はこれまで。

結果的に熊本県のサイトが見つかりませんでした。ごめんなさい。

 

なお、お中元もお歳暮もお年玉も年中無休で受け付けております。

では、おやすみちゃん。

イカ釣りの恐怖

 

今から10年以上も前のお話です。

 

そう、ちょうど5月の中旬でした。

翌日に休暇を取得したあたしは定時に仕事を上がり、

日本海側の神恵内(かもえない)村に向かって車を走らせました。

大好きな海釣りに行くためです。

前日までの大雨がウソのように晴れています。

日中の陽射しですっかり乾いた道路を、夕陽に向かって爆走しました。

 

目的の釣り場は、海のすぐそばの大きな橋の横の狭い空き地が駐車スペースで、

先客が1台止めていると、もう入れないという穴場的なところです。

幸い?なことに 交通ルールを大幅に無視できたおかげで、

夜の8時前には無事到着できました。

駐車場は空っぽ。薄明かり越しに見る釣り場には、誰もいないようでした。

急いで釣り用の防寒服上下を着込み、釣り道具を入れたリュックを背負い、

左肩には竿を入れたバッグをかけ、右手にはクーラーボックスを持って、

帽子に装着したキャップライトの明かりを頼りに、釣り場に向かいました。

橋の下へ向かう急な斜面を注意深く降り、岩場を歩くこと30分。

はぁはぁ息が上がり、すっかり汗だくです。

 

幸いなことに波も風もなく、海は穏やかでした。

 

同僚が急用で来られなくなり、あたし一人の釣行。

夜釣りでヤリイカ、明けてマガレイ、ホッケなどが狙えます。

しかもよく釣れるので、あたしの勤務先の釣りバカにとっては、

天国のような釣り場でした。

釣り座は定員3名。決して広くはありません。

ただ、平日のど真ん中には釣り人が少ない場所でした。

しけに弱いのか、すぐ近くの岩場が大丈夫でも、ここは波が乗っていることもあり、

行ってみないと分からないというのが唯一の難点でした。

 

さて、まずはイカ釣り。

これはテーラーという、端にトゲトゲの針がついたプラスチックの台に

小魚などを柔らかい針金で巻き付け固定するタイプの、浮き釣り仕掛けでやります。

基本、手で竿を持って釣りますから、軽めで柔らかい磯竿を使います。

イカは海藻に産卵するために岸寄りするそうです。

20メートルほど沖にある大きな岩と大きな岩の間の

イカがいそうなところにドッボーン。

仕掛け投入です。

この岩場は海藻が多く足下から深いので、とくに魚影が濃いのかもしれません。

電池で光る浮きが点滅しながら静かに揺れています。

するとすぐに浮きがパタっと横になったり、また立ったりを繰り返しました。

ヤリイカ特有のアタリです。

ヤリイカはマイカほど力がないのか、

浮きが沈むより、倒れたり、波に逆らってゆっくり動くことの方が多いのです。

海中で、テーラー仕掛けに抱きついてエサを食べながら泳いでいるヤリイカちゃん。

そんな姿を想像してしまいます。この浮きの動きが面白いんです。

 

きたきたぁっ!

 

緊張が走ります。あわてて引っこ抜いてしまうとイカが乗ってきませんので、

ゆっくりとイカの重さを感じながら一定のペースでリールを巻きます。

足下近くまで巻き上げたら、竿の腰を使って円を描くように抜き上げます。

ピュッピュッと海水やスミを吐きながら、ヤリイカちゃんが上がってきます。

スミを吐かせないやり方もあるそうですが、あたしは知りません。

 

釣れたらすぐにエサを確認。

 

イカのくちばしは強力なので、すぐにエサが食いちぎられてしまいます。

急いでエサを取り替え、再びドッボーン。

するとまたアタリ。入れ食いです。

夢中になって釣り続けました。

とうとうエサがなくなりイカ釣りは終了。

数えるとマイカ混じりで、52ハイの釣果です。

釣り始めて約2時間。

休みなく立ったり座ったりしていたため、太ももと腰が痛くなっていました。

釣っていたときは気づきませんでした。夢中だったのね。

 

ひと休みしたらソイ釣りをしよう。

 

そう思いながらタバコに火をつけ、見上げた空には満天の星。

天の川がとても美しく流れています。

水平線近くには漁り火も見えていました。

こんな気分は久しぶりです。

星空に吸い込まれていくタバコの煙を見つめながら、

 

釣りっていいなぁって、しみじみ思いました。

 

岸からでもスーパーで売っているのと同じサイズのイカが釣れるんです。

しかもめっちゃ新鮮。ヤリイカは刺身が絶品ですよね。

寄生虫アニサキスにさえ気をつければ、ショウガ醤油でいくらでも食べられます。

 

楽しいなぁ〜。来られなかった同僚の分まで釣れちゃったので超上機嫌です。

ふと降りてきた橋の斜面を見ると、キャップライトが一つ揺れています。

 

誰か釣り人が来たようです。

 

心が人一倍狭いあたしは、ちぇっと舌打ち。

せっかくの大漁場所を独り占めできなくなるのが悔しかったんです。

意地悪く投げ釣りの準備も始め、狭い釣り場を広く使っちゃいます。

ここで一番釣れると信じているポイントから竿を出し、

3方向に仕掛けを投入して、あの釣り人が入れる場所を狭くします。

さらに手竿のソイ釣りは、少し移動して〝あいつ〟が来る前に

少しでも多く釣り上げちゃおうと

キャップライトをチラチラ見ながら動き回ります。

めちゃめちゃ心が狭いでしょ。自分でもやんなっちゃう…。

 

でも釣人なんてみんなそんなものよ。

 

あたしだけ? かな…。

 

明かりは少しずつですが、着実に近づいてきます。

あと5分もすれば到着でしょう。

あ〜あ、大漁場所独占特別貸切も終了かぁ…。

ますます気分は暗くなります。

 

キャップライトはどんどん近づいてきました。

どんなヤツなんだろう。怖そうなヤツじゃなきゃいいな。

ばかでかくて腕力強そうなヤツじゃなきゃ、こっちから挨拶しようかな。

なんて考え始めていたんですが、

気がつくと光は、あたしから20メートルほど離れたところを横に移動しています。

 

? ? ? ?

 

なんか違和感。

キャップライトは、あたしがいるところから平行移動しているんです。

そっちは海じゃね? なにしてんだろう?

不思議に思って見ていると、キャップライトは海に向かってどんどん進みます。

 

落ちるよ落ちるよっ! 落ちるって!

 

あたしは声を上げていたかもしれません。

ドキドキドキドキ。

心臓が激しく高鳴ります。

すでにキャップライトは明らかに海の上を歩いています。

 

ナンダナンダナンダっ!

 

すぐには事態が飲み込めませんでした。

次の瞬間、パチッと光ってキャップライトは消えました。

 

げげげげげっ! ぎょえええええええ〜っ!

 落ちたよ、落ちたぁ! 落ちちまったぁっ!

 

震える足でキャップライトが進んだ近くまで行ってみました。

 

やはりそこに地面はありませんでした…。

 

 静かな海に静かな波が揺らいでいるだけ。

何事もなかったように静寂に包まれています。

 

なっなっ、なんだったんだっ。あたしはオロオロ。

念のため、キャップライトで海中を照らしてみたものの、

何も見えませんでした。

 

そういえば…。見えていたのは光だけ…。

岩場を歩く足音も聞こえていたのかどうか分からなくなりました。

あたしが勝手にキャップライトだと思い込んでいたのかもしれません。

見えた高さは明らかに人の身長の範囲だったと思います。

でも、体が見えていた記憶はありません。

星明かりがあるとはいえ夜ですから、視界は10メートルもなかったと思います。

 

ゆ、ゆうれい………?

 

そう考えた瞬間、体中から血の気が引きました。

あ、れ、は、ゆ、う、れ、い、い、い、い………?

 

いても立ってもいられず、釣り道具を片付け始めます。

 

こんなことなら投げ釣り道具なんて出さなきゃよかった。

後悔先に立たずです。

恐怖に手が震えてうまく道具がしまえません。

仕掛け入れをひっくり返すわ。オモリをぶちまけるわで、てんやわんや。

ようやく片付け終わり、急いで車に引き返します。

 

キャップライトは前しか照らしません。

聞こえるのは岩場を歩くあたしの足音だけ…のはず…。

でも、なにかが付いてきているような気がしてなりません。

 

後ろは真っ暗闇です。

 

追いかけられているような錯覚に見舞われ、

何度も振り向くので、何度もずっこけながら、必死で斜面を登りました。

おっかなくて生きた心地がしません。

来たときよりも大量の汗が体中から吹き出していました。

心臓が2、3個、口から飛び出たんじゃないかと思います。

転んだ弾みで右手には大きな切り傷ができていました。

 

それでもどうにか橋にたどり着きました。

 

案の定、駐車スペースにあたし以外の車はありません。

急いで防寒服を脱ぎ、エンジンをかけて脱出です。

フロントガラスにガバっと人の顔が出てくるんじゃないかとか、

バックミラーに恐ろしい形相が映るんじゃないかとか、

ホラー映画さながらの想像がふくらみます。

 

しばらく車を走らせて、ようやく落ち着きを取り戻しました。

タバコを吸うことも忘れていました。

とにかく遠くまで逃げたかったんです。

 

あたしが殺したわけでもないのに…。

 

もう大丈夫だろうと海から大分離れたところで車を停め、

自販機でコーヒーを買いました。

でっかい音で音楽をかけ口ずさんでも、どうしても考えてしまいます。

 

あれはなんだったんだろう?

 

やはり幽霊だったんだと思います。

あの釣り場で命を落とした釣人が現れたのではないでしょうか。

 

そうとしか思えませんでした。

 

なんのために?

一人で夜釣りは危険だよと知らせるためでしょうか?

それともあたしの大漁をうらやんで、

いっちょう脅かしてやれって、出てきたんでしょうか?

 

そういえば大漁だったな。ふふふ。

そのとき気がつきました。

 

クーラーボックス忘れた!

 

トホホホホ………。

戻る勇気も根性も気力も、あたしにはありませんでした。

 

ゆうれいのバカやろうっ!

 

何度も何度も頭の中で繰り返し叫びながら、むなしく帰宅したのでした。

………………………………。

 

それ以来、一人で夜釣りができない体になってしまいましたとさ!

めでたしめでたし。

クスン…。

 

余談です。

数年後、その釣り場は台風の影響で橋が落ちて消滅しました。

新しくできた橋は海から離れていて、

あまりにも釣り場から遠くなり過ぎました。

あたしたちが立っていた岩場も、

橋の残骸の下に埋もれてしまったといわれています。

 

あたしは、これも幽霊の仕業じゃないかって思っています。

危険な場所だから入れないようにしちゃおうって。

 

そんなことないかな?

 

いずれにしても、台風で落ちてしまうような橋のたもとで釣りをしていたんです。

今にして思えば幽霊より怖いかも。

 

無事でよかった。生きててよかった。ホントそう思います。

 

 

古い話ですが、あたしがあそこに忘れた

イカがいっぱい入ったクーラーボックス、

拾った方はご一報ください。

 

おしまい。